第9章 燃やして欲しい、私の全て※
これが…最初で最後だから
自分にそう言い聞かせながらゆっくりと炎柱様に近づいて行く。
炎柱様の前で立ち止まったものの、炎柱様は相変わらず私の方を向いてくれる様子がなく、チクリと胸が痛んだ。僅かに膝を折り、炎柱様の両頬をガシッと両手で掴み、その端正な顔を無理矢理上へと向かせる(あまりにもあっさりと上を向いてくれた炎柱様に抵抗されるかもしれないと身構えていたので驚いた)。
「…っ何を…!?」
驚きからか、普段から大きく見開かれた目を更に大きく見開いている炎柱様の唇に
ちぅっ
私は自ら口付け、口の中に含んでいた水と丸薬を炎柱様の口内へと舌を使って押し込んだ。
「…!?」
ゴクリ
私の突拍子のない行動に驚き対応できなかったのか、吐き出されてしまったらどうしようかと心配していたのにも関わらず、炎柱様は水と丸薬を素直に飲み込んでくれた。
…元忍が調合した精力剤だもん…効果はすぐに出るはず
吐き出される心配ももうないと炎柱様から唇を離そうとするも
「…っんぅ…!」
炎柱様の両手が私の頭の側面をガシリと掴み、それを許してはくれなかった。
ちぅ…ちゅる…ぷちゅぅ
私から仕掛けたはずの口付けなのに、あっという間に主導権を炎柱様に握られてしまい
「…ん…ふ…っ…」
…何…これ…口付けって……こんなに気持ちよくて…いやらしいの…?
私の頭は完全に混乱していた。
まるで炎柱様に食べられていると勘違いしてしまいそうな程の激しい口付けで、私の思考が完全に蕩けきった頃
ちゅっ
音を立て、炎柱様の唇がようやく離れていった。
はぁ…はぁ…はぁ…
初めて経験する口内を探られるような深い口付けに、私の息は完全に上がってしまい、それをなんとか整えようと必死で呼吸を繰り返す。