第9章 燃やして欲しい、私の全て※
「…私はここから一番近い街の長屋を借ります。そこからなら、前に借りていた鬼殺隊の宿舎よりはここまで早く来れます。だから…私も2日後、皆さんと一緒にここをでます」
私がそう答えると
「まぁそう言うだろうと思ってたわ。長屋の金はこっちで払う。こいつらが心配するから、あんま古いとこに住むのはやめろ」
天元さんは右手で頭をぼりぼりと搔きながらそう言った。
「…え…そんな!お金は自分で払います!」
私が天元さんに向けそう言うと
「私たちからもお願いよ」
雛鶴さんがそう言った。雛鶴さんのその言葉に、天元さんへと向けていた視線を雛鶴さんの方へ向けると
「…っ…」
酷く優しい笑顔を浮かべながら私の方を見ており、思わず言葉に詰まってしまう。
「…あなたはちょっと危なっかしいところがあるからね。私たちがいない間、かわいい妹のような鈴音になにかあったらって考えると、任務に集中できないもの」
「遠慮なんてすることないんだ。あたしも、雛鶴と同じ気持ちだよ」
「そうです!私たちがいない間に最近めっきりかわいさがアップしてきた鈴音ちゃんにちょっかいを出されるようなことがあればと思うと…いやぁぁぁ!無理です!耐えられません!」
「雛鶴さん…まきをさん…須磨さん…」
大好きな3人にそんなことを言われてしまえば
「…わかりました。天元さんの言うことに…従います」
素直にそう言う他なかった。
その夜非番だった私は、初めて雛鶴さん、まきをさん、そして須磨さんの4人で離れで眠った。もし天元さんがいたならば
"私とじゃなく天元さんと時間を過ごしてください!"
と、泣く泣くお断りをしていたところだが、幸運にも(ごめんなさい)天元さんはいつも通りの見回りがあったので心置きなくその状況を楽しませてもらうことにした。
いろんな話をし、寝るのが勿体無いと感じてしまうほどの楽しい時間を4人で過ごした。
あんなにも楽しい夜は生まれて初めてだった。