第8章 響かせろ、もっと遠くまで
戦況が変わったきっかけは
”それでは今から型の使用を許可します。くれぐれも鍛錬場を壊さないでくださいね”
という胡蝶様のお言葉だった。
炎柱様が型を使い始めると、あっという間に私と善逸の連携は崩された。私は上弦との戦いの際にその型を全て目にしていたので、炎柱様がどんな型を使い、それにどう対処すればいいかわかっていた。けれども善逸は、初めて自分へと向けられる炎柱様の型に完全に腰が引けてしまい、型の使用を許可される前と比べて速度も明らかに落ちていた。
そして私自身も善逸に的確に指示しながら炎柱様の隙をついたり、接近戦に持ち込むことが出来るほどの能力がなかった。それでも最後の方は、なんとか型使用前の連携を取れるようにはなった。けれどもその頃には訓練終了の時間を迎えてしまった。
次はもっと連携が取れるようにと、私と善逸は鍛錬場に居残りし久々にじぃちゃんの所で修行していた時のようにあぁだこうだと話し合った(そんな善逸の姿をみた炭治郎君が、”善逸があんなに一生懸命やるなんて…”と何やら感動している様子がとても不思議だった)。
迎えた8回目の訓練。
反省会の甲斐あって、私と善逸は初めの段階から炎柱様の勢いに負けることなく動きについていくことが出来た…ように見えていた。私と善逸は前回の反省点を生かし、確かにより連携を強めることが出来た。けれども7回目の訓練から3日期間が開いており、3日間の間で炎柱様もより感覚、呼吸の深さ、そして力を取り戻していた。
”どう頑張っても善逸と2人じゃ対抗できない”
そう察しがついた時、胡蝶様の待ったがかかり
”それでは炭治郎君も鈴音さんと善逸君に加わってください”
とお声が掛かった。