第8章 響かせろ、もっと遠くまで
「イメージとしてはクナイを使っているときと感覚を近づけたいです。そうなると二刀流のもの…天元さんの日輪刀を小さく、軽くした感じのものがいいと思っています」
以前に一度だけ天元さんの日輪刀を片方持たせてもらったことがあるが、信じられないほど重く、それを一本ずつ両手で持ち、当たり前のように日輪刀を持っていない時と同じ動きをする天元さんは自分と同じ人間とは到底思えなかった。
「要は俺様のこのど派手な日輪刀に憧れてるってことだな!流石俺様の継子だ!」
「あ、はい。そう思って頂いて結構です」
「ちっ。なんだよその可愛くねぇ言い方」
「私が可愛くないのはいつもの事ですよね?因みに、鎖と刀身の穴はなしの予定です」
「はぁ!?」
私の”鎖と刀身の穴はなし”発言が相当お気に召さなかったのか、天元さんは座卓に両腕を着き、グっと私との距離を詰めてきた。
「お前な!この鎖が、この穴が!俺様の日輪刀をより派手にしてくれてんだろ!?これがいらねぇとはどういう了見だ!?言ってみろ!?」
あまりのその剣幕に若干引きはしたものの、そこまで自分の日輪刀を愛せるという事は羨ましい限りである。
「だって…確かに2本が繋がっていた方がいざとなった時攻撃の幅は広がりそうだけど…」
「だけどなんだよ」
「鎖だとじゃらじゃら音がするから私にとっては音を聞き分ける弊害になる可能性がありますし、その分重くなりますよね?」
私がそう言うと
「んなもん鍛えろ!…と言いたいところだが、まぁ確かにそうだな」
天元さんはなんとも不満げな表情でそう言った。
「この穴も、攻撃を受け止める際に役に立ちそうですが…響の呼吸を使うとき、音を飛ばすのでこの穴があると…今までと勝手が違くなりますよね?だからできれば避けたくて…」
「…確かにそうだな」
依然として不満げな表情ではあるが、理由を聞き、納得がいったのか天元さんは前のめりになっていた姿勢を元に戻した。