• テキストサイズ

音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第8章 響かせろ、もっと遠くまで


「…っ謝らないでよ!謝って欲しいんじゃないの!俺はね、姉ちゃんに幸せになってもらいたいだけ!両想いなのに遠ざけるなんて意味わかんない!もったいない!俺も禰󠄀豆子ちゃんと早くそうなりたい!」


この話をして善逸にお説教されてしまうとは夢にも思っておらず(最後の一言はまぁ別として)、


「…なにその顔?鳩が豆鉄砲食った見たいな顔しちゃってさ」


そう言いながら善逸は訝しげな表情で私の事を見ていた。


「…いや…だって…まさか、私に負けず劣らず自分嫌いの善逸に…そんな風にお説教されるとは思ってなかったから…」


私はてっきり


わかるわかるよぉ!あんな人無理だよね!
俺と一緒に綺麗さっぱり
忘れる方法考えよう!


とでも言ってくれるのだと思っていた。


「…善逸は…私の事、身の程知らずって…思わないの?」


私のその問いに


「はぁ?思うわけないじゃん」


善逸は僅かにムッとした様子でそう答えた。さらには


「ていうか、もしそんな奴がいたら俺絶対に許さないし」


そう言って、まだ誰からもそう言われたわけではないのに、その相手をすでに想像でもしているのか、いつも比較的穏やかな表情を浮かべているはずの善逸のそれは、眉間に皺が寄り険しいくなっているように見えた。


あの優しい善逸が私のためにそんな風に怒ってくれる。


…やっぱり…善逸は最高の弟弟子だな。


それが堪らなく嬉しかった。


右手に持っていたお団子をお皿に置き、空いた両手を善逸の眉間に出来てしまっている皺へとのばすと


ぐぃーっ


「ちょっと!痛いんですけどぉ!」

「だって、顔が怖いんだもん」


それを伸ばすように両方の親指で伸ばした。

たいして力を入れていない筈なのに、”痛い””放して”と騒いでいる善逸に


「…ありがとう」


私が呟くような声でお礼を述べると


「…お礼なんていいから、姉ちゃんはもっと姉ちゃん自身の事を好きになって!」


善逸が、ほんのりと頬を赤く染めながらそう言った。




/ 932ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp