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音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第7章 溢れた想いの行先は


それでも、どうしてもこんな状態で炎柱様と向き合う勇気が持てず


「っ善逸!助けて!」


部屋の隅で気配絶っている善逸に助けを求め掴まれていない方の腕を伸ばした。けれど善逸は


「無理無理無理無理」


首がもげてしまうんじゃないかと言うほどの勢いで頭を左右に振り、"拒否"の意を示している。


「っ姉弟子を…見捨てるの!?」


良心に訴えかけるように私がそう言うと

じーっ

善逸は私の顔をじっと見つめ

じーっ

次に私の腕を掴んでいる炎柱様の顔を見た。

そして


バサっ


善逸は信じられないことに、頭から布団を被り、私のことを完全に見捨てる選択を選んだ。


「…っ善逸ぅ!」


意味がないと分かりながらもギロリと善逸を睨みつける私に


「ごめん姉ちゃん。姉ちゃんよりも煉獄さんの方が断然怖い」


そう言い捨て


スゥースゥー


わざとらしい寝息を立て始めた。


「…っそんな狸寝入り…騙されるわけないでしょ!?」


そう騒ぐ私を全く気にする様子もなく


「では行くぞ!」


炎柱様は私の腕を痛くない程度にグイグイと引っ張り部屋を出て行こうとしている。


…っやだ…行きたくない…!


縋るようにそばにいた炭治郎くんと伊之助くんを見たが


スッ


目も合わない間にそらされてしまい、この部屋に私の味方は1人もいないことを嫌でも理解してしまった。

部屋を出る直前


「っ裏切り者ー!!!」


弟弟子に裏切られた悲しみと、助けを求めた後輩に見向きもされなかった虚しさを晴らすようにそう叫んでしまった。


「荒山さん。蝶屋敷では静かにお願いします」


部屋の外に出ると偶然にも胡蝶様がそこにいて、私は咄嗟に


「っ胡蝶様!助けてください!」


そう声をかけてしまう。私のその言葉に炎柱様は


「その言い方ではまるで俺が人攫いのようだな!はっはっは!」


なぜかとても楽しげに笑っており、助けを求めたはずの胡蝶様はといえばニッコリと、それはまぁ素敵な笑顔を浮かべ


「自業自得です」


私に向けはっきりとした口調でそう言った。


「…そ…そんなぁ…」


ズルズルと半ば引きずられるように連れて行かれる私を、胡蝶様は手を振りながらただただ綺麗な笑顔を浮かべ見ていた。


部屋の外にも私の味方はいなかった。


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