第7章 溢れた想いの行先は
「どうして…よりによって…炎柱様なのかな…」
力なく私がそう言うと
「え?なんでそう思うの?っていうか煉獄さんも「善逸さん!あなたはどうしてそうやって勝手に病室を抜け出すんですか!」ヒィィィ!見つかったぁぁぁ!ごめん鈴音姉ちゃん!また後でこっそり会いに行くからっ!」
「え!?ちょっ…善逸!?」
そう言って善逸はアオイさんがら逃れるべくあっという間にどこかへと走って行ってしまった。
…怪我してるんだから、安静にしておけばいいのに。
私がそんなことを心の中で思っていると
「っもう!なんなんですあの人は!薬は飲まない、病室は抜け出す、盗み食いはする!いい加減にしてほしいです!」
そう言ってプンプンと感情を露わにしながら怒っているアオイさんが目に入った。その様子がなんだがとても珍しく、私は思わずそんな姿をじーっと見てしまう。
そんな私の視線に気が付いたのか、アオイさんはハッとした表情をした後、ほんの少し頬を赤らめ
「…失礼しました」
恥ずかしげにそう言った。
「そんな謝らないでください!…むしろ、私の弟弟子がすみませんって、私のほうが謝りたいくらいなので」
私が苦笑いを浮かべながらそう言うと、アオイさんは明かに驚いた表情を見せた後スンといつもの表情に戻り
「…荒山さんの爪の垢でも煎じて飲ませて差し上げればいいのではないですか?」
本気の声色でそう言ってきた。そんな言葉に
「…あはははは」
…善逸…アオイさんに嫌われてるなぁ。あの子…一体何したんだか。せっかく格好いい一面もあるのに…残念な弟弟子。
そんなことを考えながら善逸が霹靂一閃を使っている姿を思い浮かべていると
「ところで荒山さん」
アオイさんに声をかけられ私はそちらへと顔を向けた。
「なんでしょう?」
「先ほど炎柱様に、荒山さんを見かけたら部屋まで来るように伝えてほしいと言われたので、お時間ありましたら昨日案内した部屋と変わっておりませんので行ってみてください」
アオイさんにそう言われてしまい
「…っ…」
私は思わず言葉に詰まってしまう。