第6章 生きてこの先の刻を共に
自分が何本触手を切り落とし、何度霹靂一閃を使ったか考えるだけで嫌になりそうだった。
…流石に…疲れてきたかも…いつまでこれを続ければいいんだろう…?
私じゃない雷の音も、何かを切り裂くような音も、炎が燃え上がる音も私の耳にしっかりと聴こえてくる。それがなんとか、しぼんでしまいそうになる私の心を支えてくれていた。
けれども。
ぎぃぇぇぇぇぇぇぇえっ!!!!
…っなんて…嫌な叫び声!
耳を塞ぎたくなるような断末魔に顔を顰めてしまう。けれども次の瞬間
ザザザザザザザ
数多もの触手が乗客に向け一気に襲い掛かり
…最後の抵抗ってわけね…そんなこと…っ許すわけないでしょ!
グググっと今日1番低い構えをとり
「雷の呼吸壱ノ型…霹靂一閃っ!!!」
今まで使った霹靂一閃の中でも最速の攻撃を放ち、触手を全て切り落とした。
…よし!これでなんとかなった!…っでも!
車両がグラリと大きく傾き、横転し始めた。折角触手の発生源である鬼の頸を炭治郎君と伊之助君が狩ってくれたというのに、万が一ここで乗客を死なせるようになることになってしまえば、きっと炭治郎君は気に病んでしまうに違いない。
横転の勢いを…なんとか殺さないと…!私が使える型で…横転の勢いを殺せる型…どれ…なにを使えば…っ!
私は3両目と4両目の連結部分に急いで向かい、倒れていく方と逆の方に身体を正面になるように向けた。
逆向きの力を働かせて衝撃を殺すしかない…っ…大丈夫。きっと…炎柱様も…どうにかしようとしてくれてる!私は…私のやれることをやるんだ!
シィィィィイ
「雷の呼吸伍ノ型…っ熱界雷!」
斬撃波を飛ばし、私は横転してくる力に反するように、そして車体を壊さないように加減をしながら何度も熱界雷を放った。
…っお願い!誰も…誰も死なないで…!
横転していく車両の勢いを懸命に殺しながら、私は
…炎柱様…っ!
炎柱様の熱い瞳を思い出していた。そうするとやはり心の奥底から、自分でも感じたことのない力が湧いてきたのだった。