第6章 生きてこの先の刻を共に
「え?ちょっと!鈴音姉ちゃん、一人でどこ行くの!?」
善逸の慌てた声が聞こえたのか
「荒山、どうかしたか?」
炭治郎くんとの話を終えたであろう炎柱様がそう尋ねてきた。
「…列車の音が大きすぎて、他の車両の音も気配も…上手く拾えないんです。だから一つ一つ回って確かめてこようかと」
私がそう答えると炎柱様は普段から大きめの目を更に大きく見開き
「だめだ!いつ鬼が出るかわからないんだ。単独行動を許可することはできない!」
そう言った。
「…でも、そうしないと状況の把握が…」
「それはわかっている。ならば俺も一緒に「え?待って待って!鈴音姉ちゃん…俺たち、鬼のところに向かってるんじゃなくて…ここに…出るの…?」」
そう言って上官である炎柱の言葉を遮り、死にそうな顔で私を見つめる善逸に
「うん。そうだよ。だから早く見つけて対処しないと」
ニコリと微笑みながらそう告げた。
「はぁぁあ!なるほどね!降ります!!俺降りまぁぁあす!!!」
そう騒ぎ始めた善逸の姿に
本当に相変わらずだなぁ
とこんな状況にも関わらず、じぃちゃんと善逸と、3人で過ごした日々が思い出され、懐かしい気持ちに浸ってしまう。
するとその時
「切符…拝見します」
車掌さんが私たちがいる車両に入ってきたようだった。流石に車掌さんを無視するわけには行かず、
しょうがない…切符を切ってもらってから行こう。
そう思い、仕方なく元いた席に腰掛けた。そんな私の様子に炎柱様もいつもの表情に戻り少し浮いていた腰が元の位置に戻る。
…切ってもらったら行くんだけどね。