第6章 生きてこの先の刻を共に
「…っ…違う!…違うんだからね!…ね?善逸!ち…違うよね!?」
その表情が、未だに自分でも受け入れることが出来ていない気持ちを
"そうなんだ"
と言われてしまっている気がして、"違うよ"と言って欲しい私は、善逸にそう聞いてしまっていた。
「いやいや俺に聞かないでよぉ!」
けれども帰ってきたのはそんな言葉で
「…っ…そんな…違う…よ…」
私は力無くそう答えることしかできなかった。
そんな会話を私と善逸が繰り広げていると、市松模様の羽織を着た隊士がスッと炎柱様に近づき
「あの、煉獄さん!」
「なんだ?」
「俺、煉獄さんに聞きたいことがあるんです」
と真剣な表情で言った。その様子に、
「あの!市松模様の羽織の…えっと…」
私がそう声を掛けあぐねていると
「はい!俺は竈門炭治郎です!」
とても礼儀正しく自己紹介をされた。
「炭治郎君ね!私は荒山鈴音。炎柱様と、大事な話があるんだよね?邪魔しちゃってごめんね。私と善逸…とその猪頭の子はそっちに座ってるから、炎柱様と話があるならゆっくりどうぞ」
そう言いながら善逸の背中を押して座席に押しやり、
「猪頭の君!君もこっちにおいで!」
猪頭君を手でちょいちょいと呼び寄せると
「あ"ぁん!?てめぇこら猫女!この嘴平伊之助様に命令すんじゃねぇ!」
そんな風に言われてしまった。
え?何この子?どんな感じの子?
ポカンとしながらフンスフンスと怒っている猪頭君を見ているも
「お前の命令を聞いたわけじゃない!俺は俺自身がここに座りたくて座る!文句あるか!?」
そんなことを言いながら、なんだかんだで私の言葉の通り素直にこちらまで来てくれたのだった。
「鈴音さん、ありがとうございます!」
「どういたしまして」
炭治郎くんが炎柱様の方を向くと
「ここに座るといい」
炎柱様が自分の隣の空いている席をポンポンと叩き炭治郎くんに座るよう示していた。