第6章 生きてこの先の刻を共に
「…っ!」
目を見開き、言葉も動きも停止すること数秒。
「あ゛ーーー!鈴音姉ちゃーーーん!久しぶりーー!ずっとずっと会いたかったよーーー!」
そう言って善逸は、ビュンッと私の方に一瞬で近づいてくると、私に無遠慮に抱きついてくる。
「元気そうで…本当によかった。それにしても、相変わらずの汚い高音ね」
私が善逸を軽く抱き返しながらそう言うと
「辛辣ぅ!でもそんな鈴音姉ちゃん好き!何か懐かしい音がするかもと思ってたんだよぉ!」
善逸は半泣きになりながらそう言った。そんな風に善逸との予想外の再会を喜んでいると
「荒山!待っていた!」
炎柱様にそう声をかけられ
…っそうだ。こんなことしてる場合じゃなかった!
中々離れようとしない善逸を無理矢理引き剥がし
「合流が遅くなってしまいすみません」
ぶつくさと不満を言っている善逸をグイッと押しやり炎柱様へと頭を下げた。
「謝る必要はない。…それにしても、君のそんな姿を見るのは初めてだが…その黄色い少年と荒山は旧知の仲なのか?」
そう私に尋ねてきた炎柱様の顔には、"極めて不思議だ"と、はっきりと書いてある。
「善逸と私は同じ育手の元で修行をした姉弟弟子関係なんです」
「そうか。荒山にそんな相手がいたとは初耳だ!」
いやいやそんな相手って。
はたから聞いたら何やら誤解を生んでしまいそうなその言い方に、私が心の中で突っ込んでいると
「荒山との距離はだいぶ縮まったと思っていたが、先ほどの君の表情から察するにまだまだのようだ」
「…え?」
炎柱様が私の目をじっと見ながらそう言った。
その視線に
ドキッ
私の心臓がザワザワと騒ぎ出す。すると
「…は?ちょっ…ちょっと待ってよ…鈴音姉ちゃん…もしかして…」
私のその音を見事拾ってしまった善逸が、この世のものとは思えないものを見てしまった…と言わんばかりの顔で私のことを見て来た。