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音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第5章 名前の知らない感情は


色味の似た3つは心惹かれるものを感じず、残りの二つのうちの一つ。夕焼けのような色味をし、ほかの4つよりもほんの少し柔らかさを感じたその風呂敷が、炎柱様にとても似合っているような気がした。


「これ…手に取ってみてもいいですか?」


私が恐る恐るそう尋ねると


「ええもちろん!いいわよね、それ。質、手触り、色味、全部素敵なの」


女性はニコニコと、とても嬉しそうに微笑みながらそう言った。


きっと、呉服屋の仕事がすごく好きなんだろうな。


そんな姿が、亡くなった女将さんと重なって見えて、ほんの少し懐かしい気持ちになった。

手に取りよく見たその夕焼け色の風呂敷は、やはりとても素敵なもので、”これを炎柱様に渡したい”と、私はそう思ってしまっていた。


ただ駄目にしてしまった…風呂敷の代わりに渡すだけなのに…どうしてこんなにも、真剣になって選んでるんだろう。


頭の片隅でそんなことを考えながらも


「…これにします。これを下さい」


私の口からは、自然とそんな言葉が出てきていた。







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折角ここまで来たんだし、街の方を少し見てから帰ろう。


無事に風呂敷を買うことが出来、満足感にも近い気持ちを抱いていた私は、商店街の方へ向かうことにした。中途半端な時間だったせいか、商店街は人通りも少なく


これならゆっくり見られそう 


そんな事を思いながら商店街をのんびりと歩く。

その時

ニャーンニャーン


1匹の猫が、道の端っこをかわいい鳴き声を上げながら歩いているのが目に留まった。


ふふっ可愛い。お散歩中かな?


尻尾をぴんと立ててちょこちょこと歩くその様子はとても愛らしく、自然と表情が緩んでしまう。 

邪魔にならない位置で立ち止り、その様子を少し観察させてもらい


じゃあね、可愛い猫さん


その姿を堪能した私は近くの小間物屋に入ることにした。


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