第5章 名前の知らない感情は
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お団子を食べながら、私が炎柱様との任務中に感じた自分の心の揺らぎや乱れの話をすると、雛鶴さん、まきをさん、そして須磨さんは何故か目をキラキラとさせ、嬉しそうな顔で私のことを見ていた。
その目の輝きにに、なんとも言えない居心地の悪さを感じた私が天元さんに助けを求めるようにそちらに顔を向けるも
"そいつらが余計なことを言うなって目を俺に向けて来るからよぉ…その地味な頭で自分で考えな"
と言われてしまい結局はなんの答えも得ることができなかった。けれども雛鶴さんもまきをさんも須磨さんも、3人が口を揃えて
慌てなくてもいい
その揺らぎは悪いことじゃない
心が乱れることも大事な変化の一つ
大切な心の成長の証
そんなようなことを繰り返し、まるで私に言い聞かせるかのように言っていた。
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はぁ…
自分でも驚いてしまう程の大きな溜息が、口から漏れ出た。
僅かな希望を胸に、
「…お断りするって言う選択肢は…あったりします?」
私は天元さんにそう尋ねた。けれども
「有ると思うか?」
間髪入れずに返されたその言葉に
「…思いません」
私は肩を落とし、力無く答えた。
覚悟を決めて…行くしかない
「…わかりました。命令通り、炎柱様と任務に行ってきます」
嫌だけど。全くもって行きたくないけど。
手に持っていた残りのおにぎりにパクリとかぶりつき、もぐもぐと咀嚼した後ゆっくりと飲みこむ。それからお茶を一口飲み、湯呑みをコトリと置いた私は、目の前に音もなく座った天元さんに視線やり
「今回の任務はどんな内容なんです?」
そう尋ねた。