第4章 雪解け始まる微かな気配
たどり着いたそこには男女の隠が待機していた。
「お疲れさまでした」
と、女性の隠の方に声を掛けられる。
「荷物番、ありがとうございました。私、急いで戻る用がありますので、すみませんが日輪刀と隊服をお返し頂いてもいいですか?」
「あ、はい!ただいま!」
そう言いながら慌てた様子で私に日輪刀と隊服を差し出してくる女性隠の隣で、
「あの…炎柱様はどちらに?」
男性の隠の方が首を傾げ私の方を見ていた。
流石に置いて来ましたとは…言えないな
内心そう思いなら
「後から来られると思います。あ、大変申し訳ないんですけど、鬼との交戦で、でっかい穴が空いてしまった部分がありまして、申し訳ないんですけど事後処理の方をお願いします」
私がそうお願いすると
「「わかりました」」
2人からとても感じのいい返事がかえってきた。
「…あと…もう一つお願いがあるんですけど…良いでしょうか?」
私がそう言いにくそうな感じで尋ねると、
「何でしょうか?」
女性隠が首を傾げながらそう言った。
「炎柱様が来たら、報告書が必要であれば、後で鴉に伝えてくださいと伝言をお願いします」
「わかりました!伝えておきます」
「ありがとうございます」
早くこの場を去らないと、炎柱様が来ちゃう。
焦っていた私は隠しの2人に軽く頭を下げ
「それではよろしくお願いします」
早口でそう告げると
シィィィィィ
再び雷の呼吸を使いその場を後にした。
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私はそのまま、炎柱様とお団子を食べた(完全に不可抗力ではあるが)甘味屋のそばまで一気に戻ってきた。
待ち合わせの際大好きな餡子のお団子を食べたはずなのに、何やら精神的に酷く疲れた私は、再び甘いものを食べたい衝動に駆られていた。
そうだ。雛鶴さんとまきをさんと須磨さんにお土産を買って帰ろう。天元さんの分は絶対に買わないけど。
そんな子どもじみたことを考えながら、私は再び甘味屋を目指し、今度は来る時とは違い、ひとり周りの音や景色を楽しみながら歩き始めた。