第3章 未知との出会い、騒音との再会
天元さんのその言葉に、
そんな簡単に…変われないよ。
そう思う一方で、天元さんが私のことを考えて言ってくれているそれらの言葉が胸に重くのしかかり
変わる努力をしなくちゃいけないよ?
心の奥底で、もう1人の自分が酷く小さな声ではあるが、そう言っているような気がした。
すっかりお饅頭を食べる手が止まってしまった私に、
「ごめんなさいね。天元様、こうみえて、少し恥ずかしがり屋な所があるの」
「そうさ!言い方は悪いけど、天元様はあんたのこと心配してんだよ?」
「そうなんです!天元様は鈴音ちゃんのこと、どうしようもなさすぎて心配だって言ってました!だから全然全く悪気があったわけではないんです!安心してください!」
雛鶴さんが新しくお茶を入れなおしてくれた湯呑を差し出し、まきをさんがお饅頭を一つ手に取り私のお皿にちょこんと置き、須磨さんが私のすぐ隣に座り直し体を軽くドンドンと、まるで元気づけてくれているかのようにぶつけてくる。
「だからお前らよぉ…格好つかねぇから余計なことを言うんじゃねぇよ」
ばつの悪そうな顔をしている天元さんを尻目に
「雛鶴さん…まきをさん…須磨さん…っ!」
3人の優しさに、私の胸の奥の方がじんわりと温かくなり、感動に近い感情を抱いていた。
雛鶴さんは更に
「慌てる必要なんてない。鈴音は鈴音のできることから始めればいいの。それでもし、私たちの助けが必要だったら、いつでも頼って頂戴」
そんな優しい言葉を私に投げかけ、まきをさんと須磨さんも、それに同意を示すかのように”うんうん”と頷いていてくれていた。
「…っ好きです!雛鶴さんもまきをさんも須磨さんも…大好きです!」
あまりにも優しいその言葉たちが嬉し過ぎて、雛鶴さん、まきをさん、須磨さんの顔をそれぞれ順番に見遣りながら、私は半ば叫ぶようにそう言った。
「ふふっ。ありがとう。いつかその気持ちを、鈴音が”この人なら”と思える人に伝えてね?」
雛鶴さんのその言葉に
そんな日が、私にも来るのかな?
…来てくれたら…いいな。
そんな思いを込め、
「……はい…」
かみしめる様に、ゆっくりと返事をした。