第3章 未知との出会い、騒音との再会
「あのな!お前みたいな頭でっかちな奴には多少強引な手を使わねぇとかわりゃしねぇだろ?」
「…っ…それは…そうですけど…!…あんな風にされてしまうと…それに…私…変わりたいなんて…思って…ません…」
私のその言葉に、天元さんは
「俺にお前の下手な嘘が通じるわけがねぇだろ。羨ましそうに俺と嫁たちのこと見てんの、この俺が気がつかねぇとでも思ったか?」
「…っ!」
私の目をジッと見据えそう言った。
「はっきり言って、俺はお前が男が苦手だろうが、今後一生ひとりで寂しく生きて行こうがそんな事はどうでもいい。だかな、俺の可愛い嫁たちが、どうしてもお前のことが心配だって言うもんだからよ。ちぃとばかしきっかけを与えてやりてえと思っただけだ」
そんな天元さんの言葉に
「「「…天元様…!」」」
雛鶴さん、まきをさん、須磨さんの3人は"なんて素敵なの"と言わんばかりの表情で頬を染め、天元さんの顔をポッと見つめており
「……」
私も、先程まで苛立ちと悲しみの色に染まっていた心の部分が、ふわりと優しい気持ちで包み込まれたような、そんな感覚になった。
天元さんは"この饅頭、まじで美味いな"と、また一つお饅頭を一つ食べると
「お前、煉獄がどんな奴か知ってるか?」
私に向けそう問う。
「…炎柱様…ですか…?」
私は初めてあった時、そして今日お会いした時の炎柱様との出来事を頭の中に思い浮かべてみる。
炎柱様…声が大きくて、圧力が凄くて、距離感がおかしくて、弟さんがいて、鍛錬ばかりしていて…後は…後は………わからない。
それ以上、何も浮かんではこなかった。
「大した事、知らねぇだろ?」
天元さんにそう言われて、私は黙ってコクリと頷く。そんな私の様子に
「別に相手が煉獄じゃなくても構わねぇ。とにかくお前はそのしみったれた固定観念を捨てる努力をしろ。自分だけのくだらねぇ世界で生きるな。…まぁ俺は、あいつ以上にいい奴は知らねぇがな。とにかくだ!俺の弟子になった以上、俺の嫁たちを悲しませるようなことをするのは絶対ぇ許さねぇし、そんなダッセェままでいる事も許さねぇ」
天元さんは腕を組み、私に向け、いつもより鋭い視線を向けた。
「変えようのねぇ過去ばっか、見てんじゃねぇよ」