Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第5章 ★はないちもんめ:角名
【相談しましょ】
翌日、初めて寮から部活に行くことになる訳だが、いつもの時間に起きて準備したので、すぐ隣の学校の体育館ともなれば、少し早く着いてしまう。
まだ誰も来ていない体育館、シューズを履き替えるのに床に放ると、ぼんと音が響く。紐をぎゅっと引っ張りながらきつく結び、ノートを手に取って考えるのは昨日のこと。
『倫太郎...本気なんかなぁ......』
日付を書いて、練習メニューを書く欄を作ったところで、ぼうっとする。昨日のあの感じだと、角名くんは本気だ。そして、彼は約束したことを守らなかったりすると、めっちゃ怒る。つまり、私は今日のうちに角名くんに身を棒げるより他ないということ。
まぁなるようになるだろう、そう思えばいくらか気も楽で。みんなが来る前に少しでも準備を進めておこうと立ち上がる。
「おはよう、早いな片倉」
『北さん、おはようございます』
1年生よりも早く来てるんですね、と続ければ、俺のルーティンやからな、とシューズの紐を結び直す北さん。
「そういえば、片倉、
角名との付き合いは順調に行ってるんか」
『はい、おかげさまです』
「ほんなら、首についとるそれも角名か」
『くび...?』
ここ、と北さんが手を伸ばし、私の首筋に触れたその時。体育館の入口から、何やってるんですかと、低い声。振り向けば、いつも無表情なのを、さらにしかめたような顔をした角名くん。
「陽菜乃、北さん」
『あ、おはよう倫太郎、今日は早いんやね』
「角名、おはよう、
あとこういうんは見えん所に付けろ、
他の奴らが見たらどうなるか分かるやろ」
部内の雰囲気壊すなよ、そう言うと北さんは角名くんの肩をポンと叩き、部室に用あるからまた後でなと体育館を出ていく。その背中に分かりましたと返事をすれば、陽菜乃と名前を呼ぶ角名くん。
「北さんと、なんや仲良さそうやったな」
『倫太郎と順調かって聞かれただけよ』
「ふぅん...」
先輩かて仲良うするの俺は許さないからな、と笑う角名くんは、相変わらず目が笑ってなくて。付け足すように、今日はお楽しみやな、って言うから、顔を赤くして頷くことしかできなかった。