Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第5章 ★はないちもんめ:角名
『倫太郎が持ってるやつ、ちょーだい』
「足りんなぁ、陽菜乃」
にぃと弧を描いて薄く笑う唇と、ちっとも笑ってない目。こういう時、少しだけ角名くんが怖いと思うことが、たまにある。けど、そんな悠長なことも言ってられない。
引越しの手伝いがあるからと特例で角名くんを部屋に上げる許可をもらっているが、何かあればお咎めを食らうのは間違いない。ここはさっさと終わらせるのが先決。
『倫太郎の持ってる、わ、私の黒い…』
「黒い、なに?」
『っ、ぶ、ブラと、ショーツ、返してぇ…』
恥ずかしそうな顔も可愛いから合格、そう言うと角名くんはすんなり返してくれる。ホッとしたのも束の間、でも足りひんからこっちでも払ってもらうなと、強引に奪われる唇。
ちゅ、ちゅうと交わって、重なる吐息。室内はエアコンが効いているはずなのに、段々と暑くなってくる。角名くんの手は腰と後頭部をがっちりホールドしていて、今度こそ逃がすつもりは無いのだと告げられているよう。
『っ、り、ん……ろぉ…ぁ、ん…』
「陽菜乃、えっちやな」
吐息の隙間、名前を呼べば、嬉しそうな角名くん。
舌出して、と言われ、そろりと伸ばすと、ぢゅうと吸い付く角名くん。初めての感覚に、びくりと腰を跳ねさせれば、嬉しそうに喉の奥で笑う。
そして舌を捕らえられ、そのまま押し込むように角名くんのが口の中に侵入してくる。ぢゅ、ぷちゅと、2人きりの部屋で水音はやけに響いて、その音すらも耳を犯してくる。
『も、ぅ………っぁ、ん、りん…』
「まぁだ」
酸欠なのか、熱なのか、くらくらして、頭が回らない。ただ、角名くんの舌と唇に感覚全部を持っていかれたみたいで、それ以外何も考えられなくて。きもちいいが、支配していく。
やっと唇が離れた時には、ふやけちゃうんじゃないかってくらいにとろけていて、そのまま角名くんの胸に縋るように状態は倒れた。
「もう限界なん?」
『ちょ、っと、息、整わない、はぁ、っ』
これからもっとすごいことするのに。
えっ、と顔を上げれば、目がきゅっと細くなる。あぁ知ってる。角名くんの、ワルイ顔。
ぐり、と太腿の付け根に押し付けられた角名くんの熱は、存在を主張するように大きくなっていて、嫌でもこの先を意識するには十分だった。