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Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》

第5章 ★はないちもんめ:角名



そうしてその日のうちに入寮の手続きを進め、親の転勤より早めの来週の土日に荷物を搬入することが決まった。両日とも部活は午前のみなので、午後の空いた時間に引越しをすることに。


角名くんたち2年生は、寮の玄関から部屋の前まで荷物を運ぶのを手伝ってくれて、荷物の運び込みは土曜日のうちに終わらせることが出来た。


『みんな本当にありがとう、
 これ、うちの親がみんなで食べやって』


「ダッツの新作やーん!めっちゃ嬉しい!」


「ほんまや、太っ腹な親御さんやなぁ!」


大袈裟に喜ぶみんなに、母から預かっていたアイスを配る。9月に入ったとは言え、兵庫の残暑はまだまだ厳しい。寮のエントランスで一緒になって冷たいアイスを頬張っていると、隣に角名くんが座る。


「ほっぺた、アイス付いてんで」


『えっ、うそ、どっち側?』


「ココ」


ちう、と口角の辺りに吸い付く角名くん、そしてそのままアイスで冷えた唇を食むようにキスされる。咄嗟のことで反応できず、しかも手にはアイスとスプーン。離す訳にもいかず、逃れようと腰を引くが、するりと回された手がそれを許さない。


『ん、ん──っ、りん、た…ろ……』


「ふ、えっろい顔、ご馳走さん」


はふはふと息を整える私の後ろ、見えないけれどみんなの空気が固まっているのに気付く。ちらと目線だけやれば、顔を真っ赤にして目を逸らす銀くんに、空いた口が塞がらない双子。


「角名、そういうん家でやれや…」


「ここ、俺らの家なんやけど」


「“俺ら”って言うなやキッショいのぉ」


ペッペと唾を吐く真似をする侑くんは、銀くんを連れてさっさと寮を出ていった。角名くんは荷解きあるから部屋におるわと、こちらもさっさと行ってしまう。


残されたのは、私と治くん。


「なぁ、陽菜乃ちゃん、ホンマに大丈夫か?
 角名に嫌なことされたらなんでも言うてな?」


『なぁんも嫌なことないよ、
 みんなの前だけだもん、私も慣れてきたし』


「そう、ならいいけど…」


ほなまた部活でね、と治くんは先に出た2人を追い掛けるように寮の扉の向こうに消えていった。


手の中に残ったどろりと溶けたアイスをジュースのように飲み、私も荷物の片付けをすべく、角名くんを追いかけて階段を登った。


 
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