Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第4章 失恋はプロローグ:菅原
恐ろしや、男子高校生の食欲。
お母さん500gの1パックあればいいよーなんて言ってたけど、本当に残りを2人で食べきってしまった。途中、辛いのが好きな菅原は、ラー油やら一味唐辛子やらを使って味変してたけど、それでもまだ辛味が足りないらしかった。こわい。
片付けまで手伝ってもらって、デザートにお餅で包んだバニラアイスを出せば、それもひと口でペロリと完食。なんか、口と胃袋のサイズと言い味覚と言い、どうなってんだろう、菅原のからだ。
『もう20時か、そろそろ帰る?』
「そう思ったけど、世都ひとりなんだろ?
大丈夫かよ女の子ひとりなんて、危ないべ」
『いつもそうだからなぁ、あ、でも、
菅原の家の方が遠いっけ、なら泊まる?』
人ってびっくりしたら本当に口から吹き出すんだね。初めて見たよ。それくらい綺麗にゴフッと、水を吹いた菅原。大丈夫と背中をさすれば、耳まで赤くなった菅原がばかやろうと叫ぶ。
「そんなこと、簡単に言っちゃいけません!
お父さんそんな子に育てた覚えないよ!」
『菅原がお父さんだった覚えもないな』
「いやそれは置いておいてさ、
ほんとに、ダメだよそういうのは」
男はみんな狼なんだよ、こんな簡単に家に上げたらダメだって、とお肉につられた誰かさんが続ける。菅原でも、と問えば、菅原でも、と頷く。
『世都ちゃん、失恋直後なんだけどな』
「ぐ、ダメです、昼間たくさん甘やかしたでしょ」
『あーあ、菅原帰ったらひとりかぁ、
寂しいなぁ、また泣いちゃうかもなぁ』
よいしょ、とソファの上に体育座りをして、ぶちぶちと呟けば、あぁもうと菅原が顔を手で覆う。
「俺の理性、もってくれると思う?」
『大丈夫、菅原だから』
「ぐうぅ、その絶対的安心感こわせねぇ」
『そういうお人好しなところ、
すごい助けられてるよありがとうスガ』
ほんっとに世都は悪い子ですね、煽ってるんですか、煽ってますよね俺の事試してるよねと早口でまくし立てる菅原。照れてるのか、少しだけ赤い頬が物語る。
そうして私は、失恋した次の日に別の男の子を家に連れ込むというなんとも大胆なことをしたのである。