Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第4章 失恋はプロローグ:菅原
「まだ目赤いけど、しゃーないよなぁ」
『十分ゆっくりさせてもらったし、
さすがに午後は教室に戻ろうかな』
「んだな、そうしよ!
俺もうなんだかんだ腹減っちゃった〜!」
部室の鍵を閉め、階段を降りながら頭の後ろで手を組んだ菅原は、今日のお弁当は何かなと考え始める。すると、校舎の方からパタパタと走ってくる大きい影と、小さい影。
「菅原さん、こんちゃっす!」
「こんちわっす!」
「おー、日向に影山、お疲れ様」
3年で見た事無い顔だし、敬語だから、多分部活の後輩とかなんだろう。そうやって話している菅原は、やっぱり同級生たちよりも少し大人びて見えて、お兄ちゃんみたい。
「菅原さん、あの、その方って...」
「ん、あぁ、世都はクラスメイト!」
「でも、今部室から出てきましたよね?」
おりょ、と首を傾げるふたり。
「なぁ、2人とも、今日ここで俺らに会ったの、
内緒にできる?」
「「うっす!」」
「サンキュ、じゃあこれ部室の鍵、喧嘩すんなよ」
チャリ、と鍵を背の高いこの方に手渡すと、行こう世都と声をかけて菅原は歩き出す。大きくて小さな後輩にぺこりと会釈をしてから、私も急いでその後を追った。
校舎に戻れば、購買の前を中心にがやがやと賑わいが包む。それにしても、なんだかさっきの菅原の言い方だと、
『あの子たち、勘違いしないかな』
「なにを?」
『いや、あの菅原の言い方、
若干いかがわしいっていうか...』
「部室でナニしてたんだよ、ってか?」
そうそう、と頷けば、あいつらそこまで頭回んねぇから大丈夫だべ、と笑い飛ばす菅原。本当に大丈夫だろうか。
教室に戻れば、澤村が突然教室を出ていった菅原と私のことを待っていた。先生達には、どっちも体調不良、と伝えてくれていたらしい。
「世都、大丈夫だったか?」
『ははは、毎度すみません...
おたくの副部長さんお借りしました』
「いーよいーよ、こんなんでよかったら、
またいつでもレンタルしますよ、つってな」
『ふふふ、澤村って意外と冗談言うよね』
「大地の冗談、おっかねぇんだぞ」
「スガ、変なこと言うんじゃありません」
ふたりのやり取りがまるで夫婦漫才で、思わず声を出して笑った。