• テキストサイズ

Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》

第4章  失恋はプロローグ:菅原



『で、そこから片想いをこじらせて、
 苦節3年とちょっとの道のりでございました』


そっからもう嶋田さんしか見えなくて、友達にも嶋田さん嶋田さんって話してさ。好きすぎて高校生になった途端バイトまで始めちゃって、馬鹿みたいだよね、私。


おかげでせっかく出来た彼氏にも、“お前俺のこと好きじゃないだろ”って2回ぐらいフラれたし。


受験前にさ、こんなモヤモヤしてられないなーって思って、思い切ってシフト終わりに告白しちゃった。


『そしたら、それは“勘違いだよ”って
 歳上に憧れる時期が誰にでもあるんだ、って』


ぱたり、ぱたり。


ココアを握る、両手に雨が降る。


『わ、たし、っそんな、気持ちで、
 嶋田さんのこと、好きだったこと、
 い、い、っかい、も、なかったのに』


「うん」


『ほんとに、す、好きで、すごく、
 優し、くて、かっこ、よくて、っずっと、』


溢れる想い。止まらない涙。


『だいずぎだっだのにいぃぃぃいいい』


「頑張った、世都は頑張ったよ」


ぼろぼろぼろぼろ、大粒の涙が溢れ出す。声を上げて、わんわん泣いて、いつしか菅原に抱き寄せられて。恥ずかしさなんてこれっぽっちもなくて、ただその優しさに甘えて泣いた。


ようやく次の涙も止まって、しゃくりあげていた呼吸も落ち着いた頃、菅原が手元のスマホを開く。


「一限、まるまるサボっちゃったな」


『っ、ごめ、菅原まで巻き込んで』


しかも私が泣いたせいで学ランの中のワイシャツがしっとりしている。絶対ここで誰か涙拭いただろって、分かるぐらいに。


「あー、大丈夫、俺ロッカーに予備あるから
 世都が気になるなら後で着替えるよ、それに」


今日一日これ着てたら、いつでも世都泣けるべ。


あ、もしかして、今の俺めっちゃカッコよくね、なんて、にっと歯を見せて笑いかけるから。私もつられて、にひと声が漏れて、そうだねって笑った。


結局、そのまま菅原におんぶにだっこで、午前中の授業をまるまるサボってしまった。こんなの高校3年間で初めてだって言えば、馬鹿言え俺も初めてだよと菅原は優等生ぶってみせる。


菅原に教えて貰いながらちょっとバレーボールを触ったりして、教室に戻りたくないなって思いながら、お昼休みのチャイムを待った。


 
/ 132ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp