Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第1章 ★Vê você:日向
その後、風向きもあって不利な中、日向くんチームは健闘し、なんとか1セットを獲得。結果は1-2で負けてしまったが、とても見応えのある試合だった。こんなものが家の近くのビーチで見られるなんて、ブラジルすごい。
そうして現在、相手チームとノリで意気投合した日向くんチームと、日向くんに連れられた私は、近くのバルで1杯ひっかけている。細かく言えば、主に飲んでるのは向こうのチームの社会人の方と日向くんの相棒──確かエイトールさん──で、私たちは健全にソフトドリンクである。
「seu vôlei é engraçado!
(お前のバレー、おもしろいな!)」
アルコールで頬を赤くした、相手チームの背の高いダンディーなお兄さんが、そう言って日向くんの肩を叩く。続けてエイトールさんも日向くんのいい所をそれはもう、べらぼうに語る。
アラカルトをつまみ、酒を飲み、喋り倒し、これを何周繰り返したか分からない頃、等々大人たちは酔い潰れてしまった。一応と思い、ウェイターに水を3人分頼む。
アルコールは飲んでいないはずだが、みんなに褒められまくったからだろうか、日向くんの頬も心なしか赤い。
『日向くんってもうハタチだよね?
お酒飲んでもいいんじゃないの?』
「アルコールはスポーツにあんま良くないって
高校のコーチが言ってたから飲まない!」
まぁコーチめっちゃ酒飲みだったけど、とガハハと豪快に笑う。いつの間にかとっぷりと日は暮れ、店の外の通りには明かりが灯っている。南国特有の、生暖かい風が頬を撫でる。
『ねぇ、1杯だけ飲まない?』
「え、でも、陽菜乃って未成年じゃ…」
『何言ってんの!ここ、ブラジルだよ?』
戸惑う日向くんに、この国なら18歳から飲めるんだよ、とニヤリと笑い、メニュー表をめくる。【álcool】とかかれたページから、初心者でも飲みやすそうなものを探す。お酒のことはよく分からなかったので、店員のお姉さんを捕まえて、飲みやすいやつをチョイスした。
『ではでは、新しい出会いに!』
saúde、と現地の言葉でカンパイをする。爽やかなオレンジの風味が喉を抜けると、次いでツンとしたアルコールが香る。