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Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》

第1章 ★Vê você:日向



 1セット目から白熱の試合となり、日向くんのチームがあと一歩のところで追いつけず、相手チームの勝利となった。少しの休憩をはさんで2セット目が開始されるらしい。

 日向くんとチームメイトが作戦会議をしているそばをそっと離れ、ビーチに面している道路わきに上り、砂浜を見下ろす。先ほどから風が吹いてきて、コートチェンジをすると日向くんたちが風下になり、かなり不利となる。

 どんな作戦会議をしているのかとぼんやり眺めていると、背後に数人の気配。どうやら、あまり嬉しくないお客さんのようだ。


「Irmã, o que você está fazendo?
 (お姉さん、なにしてるの?)」


 チッと舌打ちしたいのをこらえ、声の方を向く。背の高い2人組の男性がにやにやと薄ら笑いを浮かべながら、座っている私を見下ろしてくる。ナンパにしては柄が悪く、あまり関わりたくないタイプである。

 どう返そうかと悩んでいると、日向くんがこちらに気づいたようで急いで駆け寄ってくる。近くに来た日向くんとナンパしてきた輩を比べてみても、やはり日向くんは小柄で少々弱っちく見えてしまう。


「Ei, o que aquele garoto está fazendo?
 (おい、なんだよこの子供は?)」


 せせら笑うナンパの片割れ、もう片方が早口で何かいい、2人でげらげら笑う。うまく聞き取れなかったが、恐らく日向くんを馬鹿にしているのであろう。全く持って腹の立つ奴らだ。


「む、なんかおれ馬鹿にされた気がする…」


『こんなのほっといて早く行こ、
 君の相棒待ってるんでしょ』


 コートの脇では日向くんのチームメイトが首を長くして待っているのが見える。どうやら試合も再開しそうだ。日向くんに絶対勝ってよね、と伝えてコートへ送り出す。

 調子に乗って腕を掴んできたナンパ野郎のもう片方の手を振りほどいて、あまりよくないのは分かっているが中指を向ける。


『Se você ficar no caminho do meu namorado,
 eu vou voar com você pelo Pacífico.
 (彼氏の邪魔したら太平洋の向こうに
  ぶっとばしてやるんだからね)』

 ぎゃーぎゃーとわめく2人を置いて、コートサイドへ向かう。試合再開のホイッスルが鳴った。


 
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