Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第3章 ☆YOU ARE MINE.:京谷賢太郎
どれほどそうしていただろうか。実際にはもっと短い時間だったのかもしれないけど、私には本当に永遠にすら感じられた。
満足して、唇を離す。そして、いつもならそれで終わるはずのキスは、何故か終わらなかった。
「足りねェ」
『んぅ、っ!?』
唇を離し、私が息継ぎをしたのを確認してから、京谷は噛み付くようにして再び唇を重ねた。私が逃げられないように、いつの間にか腰と、後頭部とを、がっちりと固定して。
ちゅ、ぢゅ、ちゅう、と何度も何度も重なる温度。私の中の戸惑いと、でも嬉しいもっとって気持ちがせめぎ合って、訳が分からない。ただ、触れる唇の感触が、きもちいいと思ってしまう。
『ん、け....たろぉ、い、き...』
「っん...」
酸欠になりそうで──もうなっていたのかもしれない──くらくらする頭。やっとの思いで紡いだ言葉、ふたりの間に生まれる少しの余白。ふぅ、っと息をついたのも束の間、またゼロ距離。
無抵抗で、されるがままの私は、その背中に回した手でぎゅっとジャージを掴むので精いっぱいで。京谷のくれる、好きって気持ちと、キスの快感で溺れそうになる。唇が離れる瞬間に、息をするのに必死になる。
『ん、ん、ぅ......っふ、ぁ』
「エッロ」
至近距離でそう言って、鼻で笑うと、また重なる。そして、少し開いた唇の隙間から、思いもよらない侵入者。
『っ、ぁ、ぅん、んん...!』
ぐちゅ、と入ってきたそれは、恐らく京谷の舌。初めての感覚に、閉じていた瞼に力が入る。そして恥ずかしいことに、唇に生まれる隙間から溢れる声が止まらない。
舌と舌を絡ませては、舌先を吸われ、今度は唇。口腔内を這うように蹂躙され、気持ち良さが麻薬のように脳をしびれさせ、正常な判断を鈍らせていく。
最後に、舌をぢゅうっと吸って、やっと解放された時には、もうクタクタで、膝からカクンと力が抜けた。ちゅぷ、と卑猥な音がして、激しすぎるキスの終わりを告げる。
『は、はぁ、ん、っはぁ......』
「お前、肺活量少な...」
『ちが、け、賢太郎が、がっ、つく、から...』
はひはひと息も絶え絶えになりながらなんとか喋れば、可愛いとそのまま抱き寄せられる。こんなにデレている京谷は初めて。明日本当に槍が降るかもしれない。