Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第3章 ☆YOU ARE MINE.:京谷賢太郎
一瞬静まり返る体育館。そして、どっと沸き立つような笑い声。
「あーあ、狂犬ちゃんガード固いよ
束縛する男は嫌われちゃうんだぞ」
「うるせェ...」
「俺は珍しいモン見られて満足」
「松川に同感」
『ちょっともうやめてください...
私の心臓の方が持たないんですけど...』
「そもそもこいつが誰にでも愛想
振りまくからっス、俺は悪くねェ」
京谷離して、と体の前に組まれた腕をグイグイと下に押してみるが、ビクともしない。それどころか、まだ離さねぇと言うかのように、ぎゅうっと力がこもり、余計に京谷に密着する形になる。
『わ、わぁ、っきょ、たに、あの』
「片倉がちいかわ化してる」
『岩泉さんほんとにからかわないでください』
「岩泉さんでも話すの禁止、片倉」
『きょ、京谷いいいいぃぃいぃい!』
一体今までどこにその独占欲しまい込んでたのってぐらい。今私、16年間生きてきて一番恥ずかしいです。お願いだから手を解いて。ここまでしたらさすがに誰も手出さないって。
みなよ、花巻さんと松川さん腹抱えて笑ってんじゃん。あの国見ですらくの字になって笑ってるよ。もうただの見世物だよ私たち、そろそろお開きにしようよ。
「そういうことなんで、
こいつそのままもらってくっス」
『待って、みんな、そんな、
行ってらっしゃいって手を降らないで...』
「片付けなら俺らに任しとけ」
『岩泉さんんんんんんんんんん』
いつもあんなに頼もしい岩泉さんも、今この瞬間だけは憎たらしい。絶対このまま京谷に連れていかれて何も無いわけないもん。
ずるずると引き摺られるようにして、体育館を出ると、早く荷物持ってこいと女バレの部室に押し込まれる。待たせたらまたなんか言われると思って、急いで制服に着替えて外に出る。
「行くぞ」
『う、うん...』
歩き出した京谷の背中を追い掛ける。街灯で伸びる影、いつもより、2人の歩幅は近い気がして、京谷がゆっくり歩いてくれてるんだって分かって、嬉しくなる自分がいる。
我ながら単純だなと、少し口角が緩んだ。