Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第1章 ★Vê você:日向
同郷のよしみということもあり、その場で連絡先を交換。久方ぶりの日本語での会話はそれこそバレーボールのようにぽんぽんと弾み、小一時間して涼しくなってきた頃。
「おれ、そろそろバレーしに行かなきゃ。
そうだ、陽菜乃も見に来る?」
バレーすっげーおもしれーから、とニカッと効果音がしそうな笑顔を向けられる。留学先のカレッジ、今日は授業もなく、バイトが終わり、この後の用事は特にない。
快く了解の返事をすると、日向くんはガッツポーズをする。何がそんなに嬉しいのか聞くと、楽しいバレーを知ってもらえることが嬉しいらしい。本当に、どこまでもバレーが好きなのだと、出会ってそんなに経っていない私でも分かる。
かくして、私は日向くんに連れられてビーチバレーの出来る砂浜へと向かうのであった。
〜
案内されたそこには、正規のバレーボールのコートよりもかなり小さいコートがあった。平らにならされた砂浜の上、ネットを挟んで2人ずつ並び、握手をしている。ちょうど前の試合が終わったようだ。
そこに座って見てて!とベンチを指で指し、砂のコートへ向かう日向くん。チームメイトにあーだこーだとジェスチャーを交えて何かを話している。時折こちらを見ているところから、どうやら私の話をしているのかもしれない。
不意に、ボンっと爆発したように日向くんの顔が赤くなる。あたふたとしている姿は少し滑稽で笑える。きっとガールフレンドとでもからかわれたのであろう、あしらえばいいのに素直に受け取ってしまったようだ。
『日向くーん、頑張ってねー!』
いたずらごころが騒ぎ、声をかけて手を振る。ギャラリーから口笛が飛び、揶揄する声が響き、日向くんはこれ以上ないほどに赤くなってしまった。チームメイトに笑われながら背中をバシバシと叩かれ、ポジションにつくと、やっとこさゲームが始まるようだ。
ペチッ、と、日向くんの両手が両頬を叩く。
瞬間。
目が、顔が、雰囲気が、ガラリと変わる。さながら獲物を狙う烏のような、鋭い瞳。呼吸の音すら聞こえてきそうな、深い集中。相手のサーブで始まると、そこからはもう、別世界だった。