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Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》

第3章 ☆YOU ARE MINE.:京谷賢太郎



ただ溝口コーチのところに行くだけなのに、こんなにも疲れ切っているのは何故だろうか。やっとの思いで話を聞けば、残り2ヶ月を切った代表決定戦までに計画している練習試合の日程調整と、対戦校の目星、あとは遠出の場合の予算なんかの相談だった。


『東北での合同試合とか良さそうですけど』


「全然違うトコに行くのもありじゃねぇか」


『うちのみんなは優秀なんで、
 色んなとこと戦っても対応できそうですよね』


コーチに渡された紙を眺めながら、岩泉さんと頭を突合せてあーでもないこーでもないと話す。その間、及川さんはと言うと、ファンサと言っていいのだろうか、周囲に愛嬌を振りまいていた。


続きはまた後でとし、部室棟の前で2人とは別れる。私はというと、女バレが部室を着替えたり荷物置きにとご好意で貸してくれているので、そっちの部室でいつも着替えている。


『失礼します、お疲れ様ですお借りします 』


「あ〜、陽菜乃ちゃん!
 聞いたよ、及川と手ぇ繋いでたって?」


『え、なんでもう回ってるんですか!?』


ドアを開けて一番、3年の先輩に詰め寄られる。噂の周りが早すぎて、否定する間もなくそう聞いてしまうと、やっぱりそうなんだ、と一気にキャアキャア女子トークが始まってしまう。


彼氏くんはどうしたのとか、及川はやめておけ岩泉にしろとか、あえての湯田もオススメだよとか、いろいろたくさん話を聞いて、げっそりしながら体育館に向かう。


いつもならもうアップが始まっている頃合いなのに、やけに静かだなと思いながら扉を開ければ、目の前にはいつもと違う人影。


『京谷!?』


「陽菜乃ちゃん、遅かったね」


そういう及川さんの顔は、少し引き攣っていて、他の面々もあまりいい表情とは言えない。そんな中、京谷は白鳥沢に負けたからもう先輩達はいないと思って来たのになどと抜かす。


ほんとにこいつは、手のかかるやつだ。


『こら京谷!』


「アァ?」


『体育館でハミチキ食べちゃダメ!
 油垂れちゃうでしょ転んだらどうすんの!』


「「「違う違う違う違う」」」


あれ違いました、なんて茶番をすれば、みんなの顔も少しは柔らかくなる。そこに岩泉さんがお灸を据え、京谷も少しは大人しくなり、本格的に部活に戻ってくることになった。


 
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