Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第3章 ☆YOU ARE MINE.:京谷賢太郎
そして放課後。ホームルームが終わって、教室がいつものざわめきに包まれたところで、それとは違うどよめきが教室の前の方から聞こえる。それに混じって聞こえるのは、女子の黄色い声。
「ごめんね、お邪魔するよ〜」
聞き覚えのある声は、バレー部は主将及川さん。なんだ、超人気芸能人でも来たかと思ったのに。
『部活ありますよね、急ぎの用でもありました?』
「うん、ちょっと次の遠征のことで、
溝口くんに呼ばれてるんだよね、
陽菜乃ちゃんも一緒に来てくれってさ」
『あ、了解です』
矢巾にまた後でねと告げて、及川さんに続いて教室を出る。ただ普通に廊下を歩いているだけなのに、ひそひそと会話が聞こえてくる。
やば、男バレの及川先輩だよ!
めっちゃカッコイイんだけど
後ろの女の子なに?マネージャー?
あれだよ5組の、京谷の彼女ってウワサ
あんなガラ悪いやつと付き合ってるの?
普段なら気にならないはずのそれが、今日はやけに耳が拾ってわずらわしい。と、目の前の及川さんが立ち止まったのに気が付かず、そのまま背中に突っ込んでしまう。
『へぶっ、すみませ...』
「陽菜乃ちゃん」
『はい』
「手、繋ごうか?」
『はい...............へ!?』
今ハイって言ったから俺の勝ちと訳の分からない理屈から、勝手に私の右手を握る及川さん。さっきの黄色い声はどこへ言ったのか、方々から黄土色の悲鳴が聞こえてくる。
『ちょ、は、離してくれませんか!?』
「嫌だね〜っ、
陽菜乃ちゃんが怖い顔やめるまで離さない!」
『分かりましたって、もう大丈夫ですから!
あっ、岩泉さん助けてください痴漢です痴漢!』
階段の前で待っていた岩泉さんに、空いてる左手をぶんぶんと振り回してSOSを送る。む、と岩泉さんの眉間にシワが寄ると、そのまま及川さんの頭にチョップをお見舞いする。
「チョット、岩ちゃん!?」
「片倉、こいつを突き出せばいいか」
『そうですお願いします 』
「お願いしちゃだめだってば!」