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Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》

第3章 ☆YOU ARE MINE.:京谷賢太郎



くすくすと笑う私に、おもむろに京谷が近づく。なおも腕は捕まったままなので、ん、と首を傾げることしかできないが。


『京谷?』


「...............」


『ちょっと、喋ってくれないと分かんないよ』


やや俯きがちになる彼に、私はエスパー使えないよ、とちゃかしてみる。そして、手首にかかっていた圧が無くなったと思えば、首の後ろに両手を回され、すっぽり腕の中に閉じ込められる。


後ろは部室棟の壁、前には京谷。ドキドキしながらも、近付いてくる京谷からは目が離せない。目の前に来たところで、視界からの情報が多すぎてパニックになりそうで目をぎゅっと瞑る。


ちゅ、と。前髪に当たる、柔らかなそれ。


『きょ、たに......?』


もしかして、もしかしなくても、これはデコチューってやつなのではないでしょうか。柔らかな体温が離れると、無言でお前もやれと言わんばかりに屈む京谷。


夏本番を前にして、早くも少し日に焼けたその額には、ニキビひとつない。私なんてちょっと夜更かししてちょっとお菓子食べすぎたらすぐできるのに、ずるいな、なんて思ったりして。


少しだけ背伸びして、そっと、唇を寄せる。


『これで、よかった?』


「そんなんじゃ足りねェ」


『同じことしたのに』


首の後ろにあった手が、がっしと顎を掴む。じっと見詰めてくる京谷に、私は直感で分かる。あ、この顔。キスする時の顔だ。


目ェ、と低く言われ、そっと目を閉じる。真っ暗な視界の向こうに、自然光がチラつく。それにふっと影が降りて、京谷の息遣いを感じて、ふわと男物の香水が少し香って。


私と京谷が、ゼロセンチになる。


自分と同じはずのそれは、少しだけ体温が高くて、やわらかくて、気持ちよくて。別にそんなに慣れてるわけじゃないし、まだ上手く息継ぎができなくて、離れる直前、鼻にかかった声が漏れる。


『...ん.........っ』


「んなエロい声出すな」


『だ、って、京谷が...!』


「俺が、なに?」


こういう時の京谷は、本当に楽しそうに、意地悪な顔をする。気を良くしたのか、満足気な顔をすると、京谷は行くぞと私の手を再び引く。


今度は、ちゃんと、手と手を繋いで。


 
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