Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第3章 ☆YOU ARE MINE.:京谷賢太郎
時は進んで昼休み。及川さんの権力で先生に頼み込み空いてる教室をミーティング用に貸し切ることに成功。こういう時は本当に先輩って強い。
『───と、言うことで、考えました
題して“京谷カムバック大作戦”です』
「普通だな」
「そのまま」
「文字通り」
「面白み無いですね」
『真面目に聞いてください!
あと国見はプスッて笑わないで!』
先輩たちはまぁいいとして、後輩に侮られるのは許せない。わざとらしいが咳払いをして仕切り直す。私の考えた作戦とはこうだ。
今日からだいたい1週間ぐらい、私は部員といつもより仲良くする。放課後に京谷と一緒に帰らないでみんなで遊んだり、普段はそんなことないけど返信頻度を下げたり、移動教室でずっと矢巾といたり、食堂でみんなと食べたり。
『そうしてじわじわ噂を広めます、
京谷があれ俺の彼女おかしくねって
なったところで私が泣き真似をします』
「なんで泣くんだよ」
『及川さんにキスされたとか言えばいいかなって』
「ゼッッッッッタイに俺が被害受けるじゃん!」
なんなのほんと意味わかんない俺先輩だよと怒る及川さんに、じゃあ矢巾にしますと言えば、しょうがないからやってあげよう、ですって。めっちゃウケるんですけど。
『みなさんにはご迷惑おかけしますが、
京谷も3年生引退したと思ってるので、
そろそろ顔出してもいい頃なんですよね』
お願いします、と腰をほぼ直角に折って頭を下げる。
カタ、と椅子の動く音。それから、ぽんと肩に乗る重みがふたつ。
「俺たちもアイツが欲しいからな、
今回は片倉の提案に乗る」
『岩泉さん...』
「及川さんも今回ばかりは一肌脱ぐよ」
『及川......あっ間違えた』
「ねぇ信じられないこの子ナチュラルに
俺の事呼び捨てにしたんだけどなんなの!」
えいえい、と両のこめかみを握り拳でぐりぐりする及川さん。シンプルに痛くてキャーッと悲鳴が上がる。それを見て教室に笑い声が響く。
と、その時、閉じていたはずのドアがガラッと開かれる。
『え、』
「あ、」
「アァ?」
購買のパンを持った、いかにもガラの悪い男の子。
京谷賢太郎である。