Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第1章 ★Vê você:日向
思わず聞いてしまった一言に、またやってしまったかと思う。だがそれは杞憂だったようだ。青年はオレンジの頭を縦にブンブンと振り、肯定を示す。
「お、おれも!話したい!デス!」
と、そこで無駄話がすぎたのか、私の背後から早くオーダーをとれとばかりに咳払いが飛んでくる。急いで注文を聞き──このヒョロっこい身体に収まるのかと言う量の注文だったが──会計をすませる。
『私もうバイト終わるから、食べて待っててもらっていい?』
「もちろんです!」
元気な返事にうんと頷き、私は軽く2人前はあるバーガーセットを彼に手渡す。店長に挨拶をし、私は厨房を後にした。
〜
こんな時、乱れた髪を気にしなくていいからショートでよかったと思う。キャップでやや潰れた髪を少し梳かしてから、日本から持ってきたシャボンのフレグランスを軽く吹きかける。
ロッカー室を出ると、店長が歯磨き粉のCMのような真っ白な歯を光らせて特大サイズのシェイクを手渡す。どうやら奢ってくれたようだ。ありがたく頂戴しよう。お礼がてらにさっきのお客さんが同じ日本人だと伝えると、驚きながらも嬉しそうであった。
急いで店内へ出て、先程の青年の元へ向かうと、ハンバーガーは包み紙しかなく、どうやらその膨れたお腹に全て納まったようであった。おかしいな、そんなに待たせただろうか。
『ごめんね、お待たせしました!
まさか、こんなとこで日本の子に会えるなんて』
「まじでびっくりしました!
日本人っぽい人はいるけど、
でも同い年くらいの子ってあんまり見た事なくて」
『だよね。めっちゃわかる』
シェイクを飲みながら言うと、自分もそれで寂しい思いをしたことがたくさんある、と青年は少しはにかみながら言った。
同い年の青年は、名を日向翔陽と言った。名前にふさわしくエネルギッシュな彼は、バレーを学びに単身ブラジルへ渡り、ほぼ毎日ビーチバレーをやっているのだと言う。