Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第2章 毒を以て毒を制す:二口
私の右手は、二口のゴツい男の子って感じの左手に捕まり、ご丁寧に恋人繋ぎまでされた。このまま体育館に戻るのかと問えば、部員巻き込んでるんだから覚悟しろと言われた。一体どういうことだ。
体育館にはまだ全員残っていて、私と二口を見た瞬間にさっきのお祝いの時よりも大きな声のおめでとうが飛び交う。
『え、ま、待って舞、どういう...』
「二口に相談されてたの、
色々上手くいくようにしてくれって」
「滑津、青根まじサンキュ」
やられた、まさかハメられたのは私の方だとでも言うのか。ああああああと頭を抱えれば、大丈夫っすよと黄金川の声が降ってくる。
「二口先輩、こう見えても優しいんで!」
「おいコガネ、どういう意味だよ」
『まいぃ、私やっぱり間違えたかも...』
「なんでだよ間違ってねぇだろ、
こんなにイケメン捕まえたんだぞ感謝しろ」
『ハァ?茂庭さんの方が顔タイプだし』
「な、っんだよお前それ今言うかよ!」
『は、何度でも言ってやるが、
にろの顔も好きだけどそれ以外のが好きだから!』
ハッとなって口を塞ぐ。待っていま、なんて言った。ヒューヒューとはやし立てる声に、ちらりと二口を窺えば、茹で上がったタコみたいに真っ赤になっていた。
それからいつから好きだったんだやら、どこがいいんだとあれこれ尋問され、上手いこと交わしながら片付けを済ませ、今日からは2人で帰れよと無駄に気を利かされた帰り道。
『さっきは渡せなかったから、コレ』
個人的なやつです、と紙袋を手渡す。中には白地に伊達工の色でもある深緑のラインの入ったタオルと、小さい香水のボトル。
「へぇ、センスいいな」
『それはどうも』
「これ、今付けていい?」
うんと頷けば、香水を取り出しワンプッシュする二口。ふわ、と香るスパイスとムスクは、やっぱり似合っていた。
「おー、いい匂いこれ」
『でしょ、二口っぽいなと思って』
「なんだよお前、俺の事大好きじゃん」
『は、うるさ、だる、
別にまだ付き合ってないから』
「じゃあ付き合ってよ」