Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第2章 毒を以て毒を制す:二口
我ながら悪趣味なドッキリだけど、まぁ日頃から二口の毒舌に頭を悩ませている訳だから、多少の仕返しは許されるだろう。
部活の始まり、監督にも協力してもらい、誕プレと称して小さな箱を渡してもらった。もちろん、中はちゃんと使える虫さん消しゴムの詰め合わせ──百均で買った──である。
さすがに察したらしい二口の反応は、段々控えめになって言ったが、それでも見てる分には十分に面白かった。
『二口、なんか今日大変そうだね?』
「どうせ片棒担いでるくせに」
部活後、ダウンする二口にニヤニヤしながら話しかけると、呆れたようによく言うぜと笑われた。何となく腹立つのはなんなんだろうな。
最後のミーティングが終了し、解散のタイミング。舞からの目配せに頷く。カチリ、と体育館の電気を消す。舞が体育館の入口にスタンバイしたところで、私はハッピーバースデーの曲を再生する。
みんながスマホのライトで舞を照らす。その手には、皆からの大量のお菓子が詰まった、クリスマスプレゼントみたいな袋。
「「「二口、おめでとう!!!」」」
「おぉ、ありがとう...って、
リボンのところにまたゴキブリかよ!」
朝からのはそういう事か、と爆笑する二口。体育館の照明を再度点灯し、今回のメイン仕掛け人は片倉陽菜乃さんでしたと舞が拍手する。
「お前かよ、悪趣味なドッキリしやがって」
『普段のお返しですから〜』
バチッとウィンクすれば、両目つぶってるぞブサイクと吐き捨てられた。私ブサイクじゃないもんね、と青根に振れば、うんうんと何度も首を縦に振る。満足気な私と対称的に、二口は苦虫を噛み潰したような顔。
「片倉は、可愛い」
『えっ、あ、青根ぇ!』
ありがとう、とその大きな手をがっしりと掴むと、照れたようにぽっと赤くなる青根の顔。青根ってば意外とウブなんだから。
と、青根の手を握る私の手をぐんと引っ張る誰かの手。見れば、二口で、みんなにお祝いされたのに不満そう。
「おい、行くぞ」
『えっ、ちょ、どこ、にろ〜!?』
半ば引きずられる私を、舞と青根が手を振って見送る。私、こんなの聞いてないんだけど。まだ続き、あったの。ドッキリここで終わりじゃないでしたっけ。