Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第2章 毒を以て毒を制す:二口
放課後。
プレイヤーより先に部室を開け、舞と一緒にボトルやテーピングの入ったマネージャーバッグを抱えて体育館へ向かう。おはざーっすと1年生がボール籠やらバッグに入ったボールを抱えて追い越していく。今日もみんな元気だな。
「おはよーございます!」
『黄金川おはよう、今日は元気だね』
「今日も、です!」
ウオオオオと奇声を上げ、ガッツポーズをする黄金川。やれやれと2人で目配せをし、ボトルに水を汲んでいく。そう言えば、と隣の舞がキャップを締めながら口を開いた。
「二口の誕生日、もうすぐだよね?」
『うわぁ、そんなイベントもあったっけ…
てかそれより先に鎌先さんじゃない?』
ほら鎌先さん8日だし二口は10日じゃん、と思い出しながら言えば、確かにと舞は頷く。部員の誕生日をみんなでお祝いする計画を立てるのも、大体マネージャーだ。
どういう感じにする、茂庭さんの時は二口と青根に女装させたよね、次黄金川いっとく、さすがに女装ネタ擦りすぎでは。
こそこそとしゃがんで喋り込んでいると、上からオイと喧嘩を売ったような声が降ってくる。
「何やってんだ、監督来てるぞ」
『へいへい、女子会してたんです』
「こんな所でか」
確かに、体育館前の廊下、水道の前で女子会する人なんてそうそういないだろう。そろそろ行こうか、ウンソウダネと言葉を交わし、二口の後ろを着いて体育館へ入る。体育館に入る前、扉の所でぺこりとお辞儀をしてしまうのは、中学の時の癖だ。
選手たちのアップを見ながら、誕生日どうしようかなと考えに耽る。みんなでリコーダーでも吹くか、でも就活で忙しいだろうし、昼休み呼び出して簡単にお祝いするぐらいで、いいかなぁ。
今日も簡単な試合をして、練習終了。昨日言った黄金川のブロック、前よりかは良くなってる。このまま鉄壁としてうまくハマればいいけどな。
舞は今日も早帰り、最後まで居た二口を半ば追い出すようにして鍵を閉める。それから昨日と違うのは、校門に青根がいないということだ。
『あれ、青根がおらん』
「あー、家の用事だとかで先に帰った」
『じゃあにろと2人かぁ』
「にろやめろって、はぁ…」