Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第2章 毒を以て毒を制す:二口
部室の鍵閉め確認をするのは私たちマネージャーの日課。最後まで残っていた1年生を部室に追い込み、着替えさせ、鍵を閉めて帰る、それが毎日の部活終わりのこと。
用事があるという舞を先に帰し、電気のついたままの部室の外で待っていると、最後に出てきたのは二口だった。
『なんだ、にろか、黄金川かと思った』
「コガネじゃなくて悪かったな」
フンと鼻を鳴らす二口。鍵が閉まっているのを確認し、二口の後を追って部室棟の階段を降りる。校門で待っていた青根と合流し、いつも通り3人で帰る。
この時間になるとお腹が空いちゃうから、リュックに常に忍ばせているグミを食べながら、そういえばと口を開く。
『条善寺のるなちゃんに聞いたんだけど、
12月に県内の1年生集めて合宿するらしいよ』
「なんでお前そんなこと知ってんだよ…」
『マネージャーの情報網舐めるでない』
まだ穴原先生がやりたいなって言ってるだけらしいんだけどね、と続ければ、二口は黄金川なら呼ばれてもおかしくないなと顎に手を当てて考える。隣の青根も同意するようにコクコクと頷いた。
それからあと誰が来そうだろうっていう話になって、烏野の1年コンビとか、青城と白鳥沢の強い子も来そうだねと盛り上がる。こうやって考えてるだけでも、県内に強い子はぞろぞろ育ってきているのが分かる。
『はー、次の公式戦楽しみだなぁ!』
「なんでだよ、お前コートに出ないだろ」
二口が無粋なことを言うから、少しムッとする。そんでそれはきっと思いっきり顔に出てて、それを見た二口は勝ち誇ったような顔をして笑う。
『マネージャーはコートに出なくても、
私たちが育てた子達が戦うんだから』
あと、
『それ、間違っても舞の前で言うなよ』
普段よりワントーン低いドスの効いた声、二口を下からじろりとにらめば、どうやら自分が地雷を踏み抜いたことに気がついたらしく、バツが悪そうにスマンと小さく言った。
確かに、マネージャーっていうのはコートには立てないし、ユニフォームも着られない。それでも、同じ仲間だと、思っているし、思っていて欲しい。
それは、私のエゴかもしれないけどね。