Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第1章 ★Vê você:日向
すっかり2人とも汗やら体液やらでぐっしょりで、今度はと一緒にシャワーを浴びる。ボディソープをモコモコと泡立て、一緒に洗いあったりなんかしちゃったりして。途中でいきなり冷水が出てきたりするのも、まぁご愛嬌ということで。
今度はちゃんと髪を乾かして、きちんとバスローブを着て、ベッドにごろりと横になる。
『翔陽はさ、いつまでこっちにいるの?』
「あと1年ぐらい、
約束で、修行は2年までって決まってるから
陽菜乃は?」
『あ〜、実は…』
来月で帰っちゃうんだよね、と言うと、翔陽はものすごい勢いで起き上がり、全力で悲しそうな顔をする。
「せっかくトモダチ見つけたのに…」
『トモダチ、か…』
普通のトモダチはこういうことしないと思うけどね、と茶化すと、そういうことじゃなくて!と途端に慌て出す。面白くなってからかってると、不機嫌そうにむくれる。
「おれは、もっと陽菜乃のこと知りたい、
何が好きで、どんなことしたら喜ぶかとか
それから…」
『それから?』
「陽菜乃のこと、ちゃんと好きになりたい
好きになって、ちゃんと、告白する」
まっすぐに、オレンジがふたつ、私を見詰めてくる。
あぁ、なんで。なんで今だったんだろう。もっと早く会いたかった、あと1年、いや、あと半年でいいから。このデジタル社会に会えなくなる、なんてことはそうないだろうけど。
けれど、もう“会えなくなるかもしれない”という事実を認識した途端、すごく胸が締め付けられるような気がした。
「おれ、がんばるよ
日本に帰ったら、バレーで活躍して、
絶対陽菜乃に見つけてもらえるように」
だから日本で待ってて、なんて。そんな、抽象的で、曖昧な、本当に叶うのか分からない、ずるい約束。それでも不思議と、翔陽は絶対に現実にしてくれると思えた。
私も、翔陽が帰ってくるのを、待ちたいと思った。
『わかった、約束』
破ったら許さないからねと眉間に皺を寄せると、絶対守ると破顔する。その顔が、たまらなく愛しく思えて、少しだけ目が潤んだのは、ナイショの話。