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Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》

第6章  記憶から消してもいいですか!:北



教室に戻り、隣のクラスの角名を拉致しようと思って除くと、あのやる気の無い猫背はそこにはおらず。手近な所にいた友人に聞けば、昼休みになるや否やサムとものすごい勢いでどこかへと走り去ったらしい。なんやねんあいつ。


結局昼休みに角名は捕まらず、ほんで銀島の足の経過はまぁまぁといったところで、放課後の部活。今朝の捻挫で放課後なので、今日は私の隣で選手のサポートとかに専念するらしい。


練習メニューに合わせて笛を吹いていれば、もっとできるだろとか、どこを意識しろとか銀島が檄を飛ばすから、なんだかちょっとだけ新鮮だった。


それにしても。


『今日の北先輩もTシャツも似合うとるなぁ
 北先輩な、アップの時はジャージ着とるんよ、
 けど体温まったら袖まくりして、その後脱ぐ』


「おぉ、細けぇな」


いつも居ない話し相手が隣にいると少しだけ楽しくて、つい合間に北先輩の話をしてしまう。今日から北先輩と帰れるし、とワクワクしている私に、お前の世界はいつも北さんが回してるんやなと銀島は呆れたように笑った。


隙間の休憩時間を使いながら、銀島に手伝ってもらい、部費の集金袋の用意をしているとガッシャンと大きな音がした。電卓代わりに使っていたスマホをほっぽり出して、音のした方に走る。


『なに今の音』


「双子がふざけてボール籠に突っ込んだ」


『ちょおあんたらほんまにやめや、
 これ去年部費で買ったばっかのやつやのに!』


籠に頭から刺さっているツムのケツをひっぱたき、正座させて軽くお説教をする。人に迷惑かけんな、物を壊すな、小学生でも分かるやろあんたらも分かるよな、そうよな。


しおしおとしおれた双子の頭を最後に小突く。その姿を見ていたらしい銀島は、私が戻ると北さんみたいな怒り方やったなと笑っていた。


そんなハプニングはありつつ、部活自体はいつも通り終わる。片付けを済ませリュックを背負うと、後ろから名前を呼ばれる。振り向けば、目の前には北先輩。


「片倉、帰ろか」


ざわり、静かにどよめく体育館。あの北さんがマネのこと誘った、今日尾白さんじゃないんだ、信介と陽菜乃って付き合うてたっけ。


好奇の視線にも涼しい顔の北先輩の後に続き、体育館を出る。心臓が、もうバクバク鳴り出していた。


 
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