Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第6章 記憶から消してもいいですか!:北
幸い、銀島とは同じクラスやし、経過を見ていくのにもちょうど良かった。2時間目の終わりに氷を交換して、昼休みに部室に連れ出して、状態次第でテーピングに切り替えることにした。
『足、ちょっと動かすな。これ痛い?』
「いや、あんま...
あ”、それ痛ぇかもしれん」
『おっけ、じゃあ固定するね』
しっかり冷やしていたのが功を奏したのか、銀島の足は思ったよりも腫れていなかった。こんくらいやったら、1週間もすればテーピングとサポーターをしやんくても動けるようになる。
銀島にはベンチに座ってもらい、捻った方の足を簡単な台に乗せて借りる。保護剤を巻いてから、くるくると手際よくテーピングをしていくと、 ほえぇと感嘆したような声が聞こえる。
『なん?』
「いや、普段北さん北さん言うてるから
つい忘れるけどちゃんとマネやしすげぇな」
『当たり前やん、こちとらこの道2年ですから』
仕上げに足の甲と足首の固定をすれば完成。我ながら上手くできてる、フィットしてるから、靴下履いてもあんまり違和感ないと銀島は喜んでくれた。
部室から教室への帰り道、なぁ、と隣の銀島が言う。
「陽菜乃は、北さんのこと好きなん?」
『え、いや、大好きだけど』
「それって、なんちゅうか、ラブの方の好き?」
『尊敬も恋愛も混み混みの大好きやな』
「陽菜乃は.........」
隣を歩いている銀島の足が止まる。ん、と振り返ると自分の足を見詰める銀島。テーピング変とか、足痛むんかな。目と目が合って、銀島の真剣な表情に少しだけ背筋が伸びる。
「...叶わない恋って、辛ないか」
『そやなぁ、苦しい時もあるなぁ、
でも北先輩が私に笑てくれたら全部飛ぶ』
「そうか...なんや、お前らしいわ」
ニッと笑ってせやろと言えば、銀島もつられたように表情を崩した。聞けば、銀島にもきっと叶わない恋の相手がおるらしい。銀島なら大丈夫って言うても、切なそうに首を横に振るだけ。
男前代表みたいな銀島にこんなに想われてる子は幸せやろな、羨ましいなと、少しだけ思う。けど私には北先輩やから、お互いめげずに頑張ろと背中を叩けば、あいつらには内緒なと、照れくさそうに銀島は笑った。