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Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》

第6章  記憶から消してもいいですか!:北



家に帰ると、慌ただしく階段をのぼり、自室に飛び込む。ベッドに寝転び、史上最高速を叩き出すレベルの速さで画面ロックを解除し、メッセージをぶん投げる。


陽菜乃:全員集合しろ、やばいことんなった


スナ:北さんにフラれた?


陽菜乃:違う、帰る、一緒に、明日から


侑:すげぇ、アリからカマキリぐらい進化したやん


治:例えがキモすぎる


銀:おめでとう


陽菜乃:ありがとう、末永く幸せになる


スナ:勝手に籍入れんな


陽菜乃:ノリで入籍してみた


銀:北さんあの曲知らんやろ、たぶん


陽菜乃:とりあえず後で今日のベスト北先輩教えて


そこまでを一気にやり取りして、実感が湧かなくて、枕に顔をつっ伏する。いいのか、本当に。私ごときが、北先輩のお隣を歩くことは、許されてええんか。


あんた帰ってきたなら一言寄越しや、と階下から聞こえる母親の声に、今余韻に浸ってるから無理と叫び返す。帰り道の北先輩、夕日に照らされてむっちゃ男前やったなぁ。


『ほんとに、夢やないんかな…』


そう呟いた時、夢やないでと言うかのようにスマホがヴヴッと震える。どうせ角名たちやろと思って画面を見て、二度見する。


“全体のグループから勝手に追加してすまんな
北信介やけど、片倉で合ってるか”


『ぎゃああああぁぁぁああぁぁああ!!』


もはや、悲鳴。


北先輩の方から私の連絡先を追加してくださるなんて、こんなんもう天変地異そのものやろ。明日雪でも降るんかな、それかメルティキッスの嵐になるんかな。


震える指先を落ち着かせ、アプリのアイコンを開く。


『北先輩お疲れ様です、片倉です
 追加わざわざありがとうございます、っと』


変じゃないかなと5回は見直して、さらに3回ほど送信の紙飛行機マークを押すのを躊躇い、右手を左手で無理やり動かすようにして何とか送った一通のメッセージ。


私が命からがら10分ぐらい考えて送ったのに対し、北先輩はほんの数分で返事を寄越したから、これまた心臓に悪い。


そうして、明日からは部活の後に部室の前で待っていて欲しいこと、部活がない日でも帰りが遅くなったら遠慮なく言って欲しいことを告げると、北先輩は最後に“ほな、おやすみ”で締めくくった。


 
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