• テキストサイズ

Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》

第6章  記憶から消してもいいですか!:北



そうは言っても、学校生活がある以上、北先輩との接触の機会なんてたくさん転がってるもんで。


「陽菜乃、さっき北さん職員室におったで」


『サムまじか!私も職員室に用事作らな!』


「北さん探しとるんなら、
 この時間は中庭で弁当食ってるのよく見るで」


『銀島サンキュ、40秒で行くわ!』


私が北先輩の引退を見届ける宣言をしてから、何だかみんなが一層協力的で。日々、北先輩との“偶然の”遭遇を演出するべく東奔西走している。


北先輩も北先輩で、遠くからでも私が手を振ったら振り返してくれるし、声掛けたらおはようとか、おつかれさんとか返事くれるから、もうこんなん脈アリやろ。嘘。まぁ、全然そんなん違うのも分かっとるけど。


運良くGETした窓際の席、午後の眠たい授業から意識を外し、外を見れば、校庭で体育をしている人がいる。待って、あれって7組と8組の男子の合同体育やんな。てことは、北先輩おるかも。


「───で、これがxに置き変わって、オイ、
 宮の侑の方は窓の外に答えでも見つけたんか」


「あの雲バレーボールみたいやな思てました」


「ほな黒板見よか」


頼むで男バレはぁ、と言いながら、クラス担任兼数学の教科担任の先生がチョークで侑と銀島を差す。私も外見てたけど、バレてなかったんかな。そう胸を撫で下ろすと、そこの片倉もやぞとご指摘が飛ぶ。


クスクスと笑いのさざ波が広がる教室で、3人ですんませぇんとやる気のない返事をし、公式に当てはめて問を解いていく。ワークの最後の問題が分からんくなって、諦めて窓の外を見れば、見つける北先輩の姿。


『学ジャーもかっこえぇわ…』


クラスメイトと談笑する北先輩の姿を瞼の裏に焼き付けたところで、答え合わせに挑む。分からなかった最後の問題は、解説を聞いたところでさっぱりチンプンカンプンで、これは後で誰かに聞かんとなぁと苦笑した。


さっきの代償に先生のご指名を食らったツムが、黒板の前で残念なおつむを披露している。銀島と目を見合わせ、くすりと笑い、私はもう一度窓の外に目をやる。


持久走に真剣に取り組む北先輩は、窓から差し込む陽射しよりも眩しかった。


 
/ 132ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp