Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第5章 ★はないちもんめ:角名
大変心苦しいが、一応体調不良ということで朝練を休ませてもらう。ホームルームぎりぎりに教室に滑り込むと、角名くんより先に朝練終わりの2回目の朝ご飯を頬張る治くんに捕まる。
「おはようさん、角名から聞いたで、
風邪て、陽菜乃ちゃん大丈夫か?」
『ありがと、おさむぐん…』
こらあかんわ飴ちゃん食べや、と治くんの手から渡されたのはフルーツのど飴。3個あるから好きな時に舐めてな、と笑うその優しさが、今は沁みる。心に、ついでに腰にも喉にも。
さて自分の席に、と思ったらそこには先客。
「陽菜乃、少しはマシんなった?」
『無理。なにもよぐならない』
プスッと吹き出しては、酷い声なんだけどと笑う、張本人に思わずきゅっと顔をしかめる。せんせ来るから席どいてと冷たく言えば、そんな怒らんといてと頭をポンポンされた。こんなんで許すと思うなよ、と内心で毒を吐いて睨み付ければ、角名くんは余裕のスマイルを浮かべていた。
席替えがあってから角名くんとは教室の端と端に分断された。その代わりというか、今度は私の後ろに治くんがいる。案の定、一限が始まって直ぐに治くんからメモ紙が渡される。
“昨日、角名とヤッたやろ”
ちょっと癖のある字で、簡素な文を綴っている。どきり、と心臓が跳ね、マスクの下で顔が熱くなる。机の下でこっそりスマホを開き、治くんに“なんで?”と送る。すぐに返事は送られてきて、そこには朝練で角名くんが2年連中に陽菜乃は正真正銘俺のもんやからって釘刺してたという内容が書かれていて。
『っ、ばか……』
後ろから、笑いを堪える治くんの声が小さく聞こえて、もうなるようになれと諦めて、机に突っ伏した。
昼ご飯を食べ追えると、みんなで約束してたからと角名くんと治くんに連れられて体育館へ行くことに。正直、こんな体でバレーなんてできない。私の腰が使い物になれば、なんて、昨日角名くんが言ってた通りになってしまった。
「陽菜乃ちゃん…!」
一足先に来ていたらしい侑くんが、私たち1組メンツに気付く。角名くんと治くんに挟まれて半ば無理やり連れてこられた私にずんずんと近寄り、がっしと肩を掴む。