Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》
第1章 ★Vê você:日向
隣に翔陽が座ると、ベッドがギシと軋み、マットレスが重さで形を変える。じっ、と翔陽を見つめるが、何かしてくる様子はない。私はまだバスタオル1枚だから、すぐにでも脱がせられそうなものだが。
『しょーよー?』
「わ、ごめん、えと、ドウシヨウ…」
実はほとんど経験なくて、と項垂れる様は、さながら雨に打たれた子犬のよう。思わずぎゅっと抱き着いて、筋肉質な背中に腕を回す。肩に顎を載せて、大丈夫だよと呟く。
『私も経験豊富じゃないし、
したいようにしてくれればいいから』
あんまり痛いのはやめてね、と付け足すと、耳元で分かった、と少しかすれた低い声が返事をした。
一旦体を離し、再度、先程のように目を見つめる。まだ緊張している様子だったので、その右手をとって自身の左胸に掌を押し当てた。
「エッ、ちょ、なにし…」
『これ、心臓なんだけど、わかるかな』
やや水分を含んだタオルの向こう、手掌に伝わるであろう鼓動は普段のそれと比べてかなり早い。BPM120近い音が、翔陽には聞こえているだろうか。
『私もね、緊張してるから。
だから大丈夫だよ、ゆっくりで。ね?』
流石に胸の上に手を置かれてドキドキしない訳が無い。自分と同じと知ってか、翔陽の表情が幾分かほぐれた。それから、目が合って、そっと瞼を下ろす。気配が近くなって、そしてちょんっと唇が触れ合う。柔らかでしっとりとしたそれは、感触を楽しむ前に離れていく。
「やばい、どうしよう」
おれキスだけでイきそう。
そんな、可愛すぎることを言われては、こちらも待ってはいられない。一気に扇情的な顔になった翔陽の頬に両の手を添えて、今度は私から、唇を重ねる。確実に、先程よりも長く。体温を交換するように、優しく。
翔陽の気が抜けた頃を見計らい、唇の間に舌を滑り込ませる。戸惑ったように翔陽の舌が奥に引っ込むが、チョンチョンとつついてやると、ゆっくりと向こうから舌を絡めるようにしてきた。
慣れているよりも、ぎこちない方が愛らしく感じられ、それがまた自身の行動を積極的にさせる。もっと、もっともっと、色んな翔陽が見たい。
気づけば私は翔陽の肩を押し、馬乗りになっていた。