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Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》

第5章 ★はないちもんめ:角名



後から来た角名くんは、私のよりもご飯もおかずも大盛りなのに、なぜだか食べ終わるのは同時だから不思議だ。きっと私が食べるのそっちのけで、色々話したからなんだろうけど。


おばちゃんにご馳走様を伝え、2人でエレベーターに乗り込む。私が自分の階を押すと、角名くんは押さんくてええのにと言う。


『え、?』


「部屋、もう来るやろ」


『あっ、や、あの、歯磨きしてないから』


陽菜乃ってそういうの気にするんだ、と目を細める角名くん。口腔衛生は大事だよと目を逸らしながら言えば、今夜は絶対に逃がさないからねと怪しく笑う。


2階で角名くんは下り、私はエレベーターに取り残される。一旦部屋に戻り、震える手で歯ブラシを握る。とりあえず部屋に戻りたくてあんなことを言ったから、歯磨きして行かないと何か言われそう。


いつ行こう、今かな、いやちょっと早いかも。


そんなことを考えながら部屋の中をうろうろしていれば、チカリと点灯するスマホのディスプレイ。送り主はもちろん角名くんで、“早く来ないと酷くするよ”と恐ろしい文字の羅列に、私は慌てて部屋を出る。


207と書かれた角部屋が角名くんのお部屋らしく、何回か躊躇いながらも3回ノックをする。


「遅かったね、陽菜乃」


『おじゃま、します...』


ほとんど私の部屋と変わらない作り、違うところがあるとしたら、カーテンの色ぐらいなもの。あとは、棚にずらりと並んだ月刊バリボーや、そもそもボールがある事とか。


ハンガーに掛けられた制服、きちんと畳まれて置かれた練習着、飲みかけのスポドリのボトル、朝整えられたであろう布団。そんな部屋に散らばる生活の痕跡が、ここで角名くんが寝起きしているという事実をやけに生々しく見せてくる。


「そこ、座ったら?
 お茶ぐらいしか出せるもん無いけど」


『あ、うん、ありがとう』


手で示された丸型のクッションの上に腰を下ろす。ふわふわの質感に、パステルドットのそれは男の子の部屋にしてはファンシーな柄だな、と思う。


そしてそれを察したように、勝手に妹が2個も送り付けてきただけだから、と角名くんは言った。


 
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