第16章 裏切りのステージ〜事件発生〜
ーー貴方side
秋永「雪、そちらの方は?」
雪「あ、この人たちはね……」
私の兄の友人で刑事と話していると、研二さんは先輩の事を知っているらしくアイドルの秋永裕太だと2人に教えていた。
松田「アイドルが雪と一緒にね……」
雪「先輩とは何もありませんよ」
萩原「ほんとのホントーーに?」
雪「むぅ……何も無いです、友人ですから!」
何度も同じ事を言うのが面倒になった私は頬を膨らましハッキリと応えた。それでもどこか信用していない2人は秋永先輩に視線を向けた。
秋永「友人ですよ刑事さん、妹分って感じなんで」
ポンポン
雪「……頭叩かないでよ」
秋永「……これくらい良いだろ。そういや、あの子が呼んでたぞ」
視線の先にいたのはコナン君、私に用事とはなんだろうか。とりあえず呼ばれているらしい私は陣平さん達に、行ってくると伝え彼の所へ向かった。
ーー松田side
坊主に呼ばれていたらしい雪は一旦、俺達から離れていった。残った俺達3人に秋永という人物は笑顔で雪の事を話しだした。
秋永「オレがアイドルって知っても雪は普通なんですよ、大体の女は目の色を変えるんで……」
どうやら雪はアイドルと知っても普通に接してくれてる良い子だと話し始める。雪はそんな見た目で判断する夜ではない。
秋永「こんな話すると、雪の事が好きって思いますよね」
3人「「!?」」
雪の事が好き、と言う言葉に反応して目を見開く。こいつも好きになってしまったのかと、ライバルがまた増えたのかと。
秋永「安心して下さい、オレは友人として好きってだけなので」
萩原「えっ?」
恋愛感情では無いと真っ直ぐ俺達を見て告げた。
秋永「ま、好きになった所で勝ち目は無いですよ」
松田「どういう意味だ?」
秋永「刑事さん達、雪の事が好きなんですよね?」
特にこの刑事さん、と俺と萩原を交互に指差す。当たっている事に動揺する俺達を余所に彼はその場を後にしようと入り口へ向かい始める。
秋永「じゃ、オレはロビーで待ってますので」
解決したら呼んでください、と言い残し立ち去った。暫く無言だった俺達、口を開いたのは伊達班長だった。
伊達「まぁ……あれだ、ライバルにならなくて良かったな?」
松田・萩原「「……」」