第3章 放課後と喫茶店
ーーー萩原side
雪「萩原さんが無事で良かったです」
萩原「……っ!」
その笑顔は無理に作った表情。本当は辛いのに泣きたいはずなのに泣かない彼女。俺に気を遣っているんだろう。
ギュッ
萩原「どうして君はこんな時に他人の心配するの?……俺、守沢さんと一緒にいたのに……責めないの?」
どうして、そんな笑顔で俺を見るんだ。
彼女を抱きしめながら、どうしてこんな俺を心配するのか質問する。
雪「……爆発物処理は危険な所ってお父さんが言ってました。そんな危険な所で頑張ってる人を責めたりはしないです」
まだ幼いはずなのに、彼女は父親から仕事の話を聞いていたのだろう。危険と隣り合わせと言う事を。
雪「お父さんが居なくなったのは悲しいけど……萩原さんが生きてて良かったです。2人とも居なくなるのはもっと悲しいと思うから」
だから生きていてくれてありがとう、なんて言われてしまった。
あぁ、俺は情けない。
彼女はこんなに強いのに
そんな笑顔だ俺を心配するなんて
ギューッ
雪「あ、あの……?」
萩原「もう少しだけ……ダメ?」
雪「……恥ずかしい、です」
腕の中にいる彼女を見ると顔が赤く恥ずかしがっているのが分かる。見ないでと両手で顔を隠していたが、その仕草にグッと来てしまう。
あー、これはマズイ。相手は小学生、好きって思うのはアレなんだけどな……
萩原「好き……かも」
雪「えっ⁉︎」
萩原「あっ!……妹してね」
つい本音が漏れてしまい、妹と付け加えて誤魔化す。好きと言う言葉に反応して更に照れる彼女。まあ、まだ子供だし守沢さんにも“護ってくれ”って言われたし。
大切に護りますよ。
気になる女の子として
その後、陣平ちゃんと彼女の兄の隼斗がやってきた。抱きしめている姿を見ると隼斗は笑顔で俺に詰め寄る。
隼斗「萩原〜、俺の妹に何やってんの?」
萩原「えーっと……ハグ?」
松田「お前、隼斗の前でそれは……」
隼斗「お〜そうか〜ハグね……こっち来いチャラ男!」
ガシッ
彼女から引き剥がされ、隼斗に引き摺られ空いている個室へと連れて行かれた。
松田「あ〜……帰るか」
雪「……そうですね、帰りましょう」
松田「じゃあ送ってく」
萩原「ちょ、ちょっと⁉︎ 2人共、助けてよ〜⁉︎」
ーーー萩原(過去のお話)