第13章 ベイカー街の亡霊〜クライマックス〜
ーー貴方side
蘭「ライヘンバッハの滝よ! 雪、コナン君!」
意識が遠のいていく中で聞こえた蘭ちゃんの声。ジャックザリッパーもその声に反応し首を締めていた手が少し緩む。
雪(ライヘンバッハの滝……確か3人で行った時に)
蘭ちゃんと思い出せなかった新一がトロピカルランドで言っていた、ホームズとモリアーティが対峙した時のホームズの台詞。
新一『君を確実に破滅することが出来るなら、公共の利益の為に僕は喜んで私を受け入れよう』
思い出した私は蘭ちゃんを見る。彼女は立ち上がり私とコナン君を交互に見て微笑んでいた。
コナン「っ! まさか⁉︎」
雪「……ダメ、やめてえぇぇぇ‼︎」
次に何をするのか分かってしまった私とコナン君は止めるように叫んだ。だがその願いは届かず蘭ちゃんは飛び降りた。
蘭(雪、コナン君ごめんね……信じてるから)
降りた先は底の見えない崖、縄で繋がれたジャックザリッパーは急いで縄を斬ろうとしたが間に合わず一緒に落ちて行った。
雪「蘭ちゃん……嘘でしょ」
コナン「……くそっ!」
俯く私達に諸星君が近付き列車を停めようと言ってきた。だが動こうとしない私達に腹を立てたのかコナン君の胸ぐらを掴む。
諸星「立てよ眼鏡! 俺達は47人の命を預かってんだ。姉ちゃんも皆の気持ちを踏み躙るつもりかよ!」
諸星君の言っている事は正しい。私達はゲームに生存して初めて勝利となる、それは分かっているつもりだ。
コナン「バーロ、俺だって諦めたかねえよ!」
雪「私だって諦めたくない、けど……」
何か言いづらそうにした私の代わりにコナン君が説明してくれた。それは列車が今も加速し続けている事、助かるためには連結部分を切り離すしか方法がないと。
諸星「なら早くやろうぜ」
雪「無理だよ、私達じゃ出来ない」
私は蘭ちゃんのように力が無い、頑丈に固定された連結を切り離すのは不可能に近かった。
コナン「蘭と一緒なら勝利できる計算だったんだ」
雪「……乗客は全て消されてるから、停める手段がもう無いの」
ノアズアークの手によって助かる手段を完全に失った私とコナン君はその場に座り込む。
雪「ごめんね……陣平さん、研二さん」
どうやら私達はゲームオーバーになるみたい。