第12章 ベイカー街の亡霊〜最終列車〜
ーー貴方side
1つの車両に集まった乗客は十数名。搬送しているであろうジャックザリッパーを捕まえる為、コナン君は車掌さんに耳打ちであるお願いをする。
『皆さん両手を上げて下さい。凶器を持っていないか確認します』
騒つく乗客達は次々と手を上げていく。持っていない事を確認し終わるとコナン君が紛れ込んだら犯人についての話をホームズの資料と共に語りだした。
内容は2人目の被害者、ハニーチャールストン。彼女は夫と息子を置いて家を出て行った事、そして遺体の側にあった指輪のについて写真と共に説明し始める。
コナン「この指輪の1つはハニーの物、そしてもう1つはデザインが同じだが形が違い彼女の指には入らなかった」
そして、ホームズの資料では2つの指輪は親子の絆を現しているのでは無いかと言う。
諸星「じゃあこの小さい指輪はジャックザリッパーの物って事か?」
コナン「そう、ハニーはこの指輪を息子に嵌めて家を出たんだ」
その話が真実であれば、ジャックザリッパーは実の母親を殺害したという事になる。
コナン「ハニーが殺された日は第二土曜日、親子バザーが開かれていた日だったんだ」
蘭「そんな事まで書いてあったんだ……」
動機は自分を捨てた母親への怨み、愛情と背中合わせの殺意だったのかも知れない。なんとも悲しい理由に蘭ちゃんは少し俯いてしまった。
コナン「1人目の女性は警察の目を誤魔化す為に殺害したんだって」
蘭「でも犠牲者は3人、4人って……」
雪「きっとそれはモリアーティ教授の英才教育が原因だと思う」
コナン君が頷き、きっと異常犯罪者へと変えてしまったと私の言葉に付け足してくれた。母親への怨みを晴らしても埋まらない心を埋める為に。
諸星「で、どいつだ?」
コナン「子供の頃から同じサイズの指輪を嵌めていたら……その指輪どうなる?」
雪「……多分、10本の指の中で1本だけ細くなるね」
乗客は自分の指や隣に座る客の指を見て太さを確認する。そんな中、コナン君は片手を上げ叫んだ。
コナン「犯人は、お前だ!」
指し示したのは1人の女性に私達は驚く。すると女性は右手を上げ薬指が細い事を見せつけたかと思うと着ていたドレスを引きちぎった。
『きゃぁぁぁぁあ』
蘭「任せて!」
正体を現したジャックザリッパーに乗客は立ち上がり逃げ始め、蘭ちゃんは犯人の元へ向かって行った。