第11章 ベイカー街の亡霊〜危険な掛け〜
ーー貴方side
アイ「なんのために私を?」
蘭「貴方を失った時のホームズの顔を見たいからです」
アイ「私も見てみたいわ、どのくらい悲しんでくれるのか」
5人目の犠牲者になって良いのかと蘭に言われると薄い笑みを浮かべる。
アイ「護ってくれるんでしょ? ホームズさんの代わりに」
雪「え……まぁ」
警護する事が強制的に決まり、肝が据わった彼女は舞台に立つ事になった。俺達は1番近くで護れるよう舞台袖で演目が終わるのを見守っていた。
雪「……こんな状況じゃなければ、もっと楽しめたのに」
蘭「うん、でも仕方ないよ」
舞台を見ながら苦笑いする2人、俺もそう思いながら会場を見渡す。そして演目も終盤へと入った頃、それは突然起きた。
バアァァァァン
会場全体が揺れ、辺りには何事かを悲鳴や叫び声が響き渡る。
滝沢「危ない!」
ガチャン
アイ「きゃぁ!」
ドオオオオオオン
諸星「江守!」
蘭「滝沢君!」
舞台の上のライトが1つ壊れアイリーンへと落ちていく。それに気付いた滝沢と江守が彼女を突き飛ばし下敷きになってしまった。駆け寄ると彼女は無事だったが2人はゲームオーバーになってしまった。
滝沢「江守、お前……」
江守「滝沢君も」
2人はお互いの姿を見てゲームオーバーだと気付く。悔しそうな顔をする彼らにアイリーンは近付きお礼を言った。少し照れた様子の2人は感謝される喜びを知って嬉しい表情を見せる。
滝沢「諸星、後は頼んだぜ」
諸星「任せたとけ」
諸星へと視線を向けた後、光に包まれて消えていった。こうしている間にも会場は崩れていき、俺達は急いで裏口から外へと避難を始めた。