第9章 ベイカー街の亡霊〜1章・いざロンドンへ〜
ーー貴方side
雪「どうしたの?」
コナン「優しいのは良いけど……笑顔振り撒きすぎだ」
雪「えーっと?」
意味が分からずどう返事をすればいいか困っていると、哀ちゃんが呆れた顔をしながらコナン君が言いたい事を教えてくれた。
灰原「彼、ヤキモチしてるのよ」
雪「ヤキモチ?」
コナン「〜〜っ⁉︎ ほら行くぞ!」
灰原「まだまだ子供ね、彼も」
顔を赤らめた彼は私と哀ちゃんから距離を取り歩き始めた。どうしてヤキモチを妬いているのかは分からないが、普段見ない彼の姿にクスッと小さく笑ってしまった。
こうして、私達はベイカーストリートに向かうのであった。
ーー松田side
博士が雪達がいる現在地の地図を見て何か考えていた。きっとそれはホームズに会えばゲームの進行が有利になるとか、ベイカー街まではかなり距離があるとかそんな事だろう。
ノアズアークに交信を切断されたせいで今の状況が声しか無いのはモヤモヤする。俺たち現実側がズル賢い事をしたのが悪いんだろうが、声だけってのは不安になっちしまう。
松田(今は無事、なんだよな……)
モニター画面にはコクーンで眠る子供達、その中の1つを俺はただ見つめていた。
ーー貴方side
ベイカーストリートへ向かう私達、どうやらかなり距離がある様だったが皆は疲れを見せずお助けキャラに出会う為歩いていたら。
諸星「おい、あの時計おかしくねえか?」
急に立ち止まった諸星君に前方を歩いていた私達は振り返り、目の前にある大きな時計塔へと視線を向けた。
カチッ
時計は音を立てて動いた。それは50分に止まっていた針が49分、48分と時間が戻るという変わった動きをしていた。
コナン「そうか、あれはゲームに参加している子供の数だ!」
光彦「2分戻ったって事は……」
雪「別のステージで2人ゲームオーバーになったって事?」
ーー松田side
プシューッ
ウィーン、ガシャ
「安弘! うぅ……!」
会場ではゲームに脱落したコクーンが音を立てながら地面へと沈んでいき、悲しみで泣き叫ぶ者や絶句し崩れ落ちる者もいた。
プシュー
ウィーン、ガシャ
音は鳴り止む事を知らず次々とコクーンは沈んでいった。
目暮『残りは43人か……」
今の一種で7人も脱落、こんな光景を俺達はまだ見なくてはいけないのかと焦りが出てくる。